抄録
三浦半島の砂防堰堤が設置されている小河川において,繁殖期を中心にツチガエルRana rugosaの季節消長および産卵状況を把握した。森戸川上流域(800m区間)および大沢谷川(1,500m区間)を対象に,目視個体確認および卵塊数確認を行った。森戸川で延べ354個体,133卵塊,大沢谷川で延べ203個体,152卵塊が確認された。個体の出現は砂防堰堤の上流側に形成される極めて緩やかな流水環境に集中しており,加えて好適な産卵基質となるアズマネザサ等が群生し卵塊も多数見られた。河川内においてこのような環境は,本種の生息のための重要な空間であると推察された。