抄録
本研究は,民間金融機関における世界的な環境社会配慮確認のガイドラインである赤道原則の採択による我が国の銀行における環境配慮確認の制度的枠組みの変化を,「確認基準」「確認手続き」「確認体制」「確認のタイミング」に着目し,明らかにした。分析の結果,赤道原則の採択により,各銀行で行内ガイドラインが策定され,「確認基準」「確認手続き」が明確に規定されたことが明らかとなった。「確認体制」については,環境配慮確認の業務を担当する専門部局が設置されていた。また,「確認のタイミング」については,事業案件によっては,事業計画策定の早い段階から銀行が関与することで早期からの環境配慮確認が可能となっていることが明らかとなった。