日本心臓血管外科学会雑誌
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原著
虚血性心筋症に対する Dor 手術の遠隔成績と問題点
西村 善幸大川 育秀馬場 寛深谷 俊介青木 雅一小川 真司米田 正始
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2009 年 38 巻 1 号 p. 1-6

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抄録

前壁中隔梗塞後の虚血性心筋症に対するDor手術は生命予後を改善するが,遠隔期に心不全を合併する症例があることも報告されている.そこでDor手術の遠隔成績を明らかにし,遠隔期心不全の予測因子を明らかにした.遠隔期心不全の有無に分けた2群間の比較では心不全群で術後ESVIが大きく,術前のMR未治療を含めた遠隔期残存MRを有する症例が圧倒的に多かった.また術前MRに対しMVPを施行した8例中3例が心不全を発症し,いずれも術前MR3度以上であった.Dor手術は自覚症状,心機能を改善し,生命予後も良好であった.しかし遠隔期に心機能が悪化し心事故,とくに心不全を再発する症例があり,心不全予測因子は残存MR,術後ESVI高値,術後の左室球形化症例であった.術前からMRを合併する症例はMRも積極的に治療すべきであるが,術前MRが高度な症例は弁形成しても遠隔期にMRを再発する症例があり問題である.

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