抄録
気候変動影響下での食料生産を安定化させる目的で,農業分野での適応技術開発が行われている。 技術開発の過程で,その技術が産業としての農業や社会厚生に与える影響を予測できれば,開発の方向性検討や目標設定が,より適切に行えるだろう。そこで扱いが容易な簡易評価モデルと,より現実的な仮定に基づく詳細評価モデルを開発した。両者を比較したところ,貿易に関するモデル化の精緻さの違いから,結果に乖離が生じるケースが確認された。簡易評価モデルはシンプルな評価ツールとして期待されるが,貿易の影響を詳細に捉えられないため,その適用対象は慎重に検討する必要がある。