抄録
有機化合物の気相を経由した油脂および脂肪性食品への移行については、これまでにいくつかの汚染事例があるものの、化学物質のリスク評価の際などにこの移行経路の重要性は、あまり考慮されてこなかった。本報ではこの移行経路の重要性について確認する目的で、多様な有機化合物に対する気相を経由した油脂および脂肪性食品への移行性のスクリーニングをオクタノール空気分配係数や蒸気圧等の物性情報を用いて試みた。過去に汚染事例のある物質以外にも移行性が懸念される物質が室内に存在することなどが示唆され、油脂および脂肪性食品に対する適切な管理方法や本移行経路に関する詳細な評価が必要であることを提案することができた。