抄録
中国の巨大都市は近年に急速な都市化を経験し,緑地の減少やそれに伴う環境上の憂慮すべき問題に直面している。本研究では,上海市を事例として都市化や都市政策に関連した都市緑地の時空間的なダイナミクスについて景観指数を用いて定量的な解析を実施した。その結果,上海市外環道路内における緑地の時空間的配置パターンは一様ではなく,2000 年~2010 年間の都市緑地の景観構造は都心を挟んで浦東と浦西の地域で大きく異なる変動を示すことがわかった。Gradient 解析の結果では,各緑地タイプの景観指数の値が都心からの距離に応じて都市化の進展状況や行政府の緑地政策の内容を反映し,東西方向に特徴的な値を示すことが明らかになった。