本研究では牛糞の野積現場周辺におけるEscherichia coli (大腸菌(E. coli)),大腸菌群流出の現状の把握と,その保全対策の考案を目的とした。現地調査の結果,野積み現場周辺の水中よりも底泥から多くのE. coli,大腸菌群が検出された。特に,水路より底泥が蓄積しやすい土砂溜に多くのE. coli,大腸菌群が生残していた。保全対策については,土砂溜にフィルター層を設置して流出実験を行った結果,高アルカリ性のフィルター層を設置した試験区において高いE. coli,大腸菌群の流出抑制効果が見られた。これらのことから,E. coli,大腸菌群は底泥等とともに流出している可能性が高く,高アルカリ性のフィルター層を設けた土砂溜を用いることで,流出抑制が可能であると判断した。