抄録
2007 年夏季に東京23 区で調査された睡眠に関するアンケート結果をもとに,住民の睡眠障害と屋外気象環境の関係を分析した。暑さによる睡眠障害を訴えた人の割合(睡眠障害有症率)と夜間の屋外最低気温とのあいだには明らかな相関が認められ,25℃を下回らない熱帯夜条件になると睡眠障害有症率が顕著に増加した。東京23 区を沿岸部・都心部・内陸部に分けた場合,熱帯夜条件のなかで,最低気温の低い沿岸部の睡眠障害有症率が他の地域に比べて低かった。湿度なども含めた温熱指標を用いた場合,体感温度を表すヒートインデックス(HI)が睡眠障害の指標として比較的良好であった。特にHI が気温の値から乖離するような夜間は,睡眠障害有症率が顕著に増加していた。