本研究は参加型灌漑管理における末端水路管理者のコミュニケーション回数に影響を与える要因を明らかにしようとするものである。調査は南スラウエシ州ビリビリ灌漑地域の最下流に位置するカンピリ地域を対象とし,2014 年乾季作中の末端水路の管理者(現地職名:Mandoro Jene,以下「MJ」)のコミュニケーション回数,非灌漑地面積の割合,水利組合やMJ の属性についてデータを収集し,それらを用いて重回帰分析を行った。その結果,灌漑水路最上流(堰)からの距離が遠い,また,管理面積が大きい水利組合ほど非灌漑地面積の割合が高く,非灌漑地面積の割合が高い水利組合ほど末端水路管理者のコミュニケーション回数が多い傾向があることが明らかにされた。