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淺木 洋祐
p.
1-6
発行日: 2016年
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
フリー
明治期半ばから発生した足尾、別子、日立の各銅山における公害は、日本で最初の大規模な公害問題と位置付けられる。しかしながら、各銅山で実施された公害対策は大きく異なっており、問題の経緯にも相違がみられる。公害・環境法制度が存在しなかったなどの当時の社会経済的状況をふまえた上で、銅山の取り組みに影響を与えたと考えられる要因として、各銅山における公害反対運動の方向性や要求、政府の銅山および反対運動への対応、銅山経営者の公害問題に対する姿勢などを取り上げて、比較検討を試みた。これらの要因には、銅山ごとに特徴的な相違がみられ、その相違が公害問題への取り組みに影響を与えたと考えられる。
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-元の敷地所有形態に着目して-
富樫 大輝, 大野 暁彦, 谷下 雅義
p.
7-12
発行日: 2016/11/28
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
フリー
本研究では,既存樹木を利用した街路樹整備の特徴について,調布保谷線(調布・三鷹区間)を対象に,それぞれの樹木の事業前所有形態に着目して調査,分析を行った。その結果, 1)8 地点13 種74 本の既存樹木が保全されたこと,そのうち12 種43 本は事業前所有形態が民有であり,多種な樹種構成の街路樹整備が行われていること,2)保全が行われた背景として背景として,住民による詳細な樹木調査に基づく樹木保全の要請,住民と行政の協議組織づくり,行政による道路断面の構成の配慮が行われたこと,を明らかにした。
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サラム エムディーアブダス, 古家 淳, アルムギル エムディーシャー, 小林 慎太郎
p.
13-18
発行日: 2016年
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
フリー
本研究は,気候変動の影響を受けるバングラデシュを対象とし,米価変動を緩和するための政策コストを推計する目的で,政策モデルを開発する。将来予測の結果,政府調達を利用した価格支持政策と,配給を利用した補助金政策が,それぞれ極端な価格の下落と上昇を緩和することが示された。さらにそれらの政策を統合した場合,1%の価格変動の削減には,21 年間で0.78 億ドルの追加的政策コストが必要であるとされた。またこの政策を実現するには,300 万トンの備蓄能力が必要になることも示された。本研究で示された政策のコストと効果は,気候変動下における食料政策立案で,基礎的なデータとしての活用が期待される。
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増原 直樹
p.
19-24
発行日: 2016/11/28
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
フリー
本研究では,市区町村の環境政策分野において基本的な文書として浸透してきた環境基本計画と新たな環境関連計画を含めた計画群全体の状況を把握し,環境関連計画間の連携に関する課題を抽出した。手法としては,行政資料を基に環境関連計画の時系列変化を整理するとともに,2 市のケーススタディを実施した。環境計画群全体の状況として,計画種類数の増加が観察され,課題として計画策定に関するメタ・デザインの必要性を指摘した。ケーススタディからの示唆として,環境関連計画が増加する自治体では,計画間で目標年次の整合性を確保したり,計画策定や実施過程に参加する市民組織の分散を避けたりする工夫が求められる。
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岩田 優子
p.
25-30
発行日: 2016年
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
フリー
兵庫県豊岡市と新潟県佐渡市は,それぞれコウノトリとトキの野生復帰事業の一環として,環境保全型農業の普及に取り組んできた。現状において,両市は,(1)環境保全型農業の作付面積の推移,(2)無農薬米の作付面積,の2点で違いがある。これらの違いを説明するために,本研究では,マルチアクター間の協働ガバナンスに焦点をあて,普及プロセスへの影響について比較分析を行った。両市の分析の結果,野生復帰事業における各アクターのリーダーによるネットワーク拡大の有無が,環境保全型農業普及における協働プロセスの循環,特に,最終フェーズである「成果達成」の点での大きな差異につながることが示された。
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三坂 育正 , 松林 康子, 斉藤 拓也, 大石 裕一, 岸野 英樹, 石丸 泰, 堀口 恭代
p.
31-36
発行日: 2016/11/28
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
フリー
都市における夏季暑熱環境を緩和することを目的として、光触媒を担持させることで親水性を有する不織布に着目して、親水性不織布の蒸発性能や不織布を活用したテントユニット施設の温熱快適性、人の官能評価を明らかにするための実験を行った。これらの実験結果から、親水性不織布は高い蒸発性能を有しており、その結果、表面温度を気温よりも低下させる効果を確認できた。この不織布を側面に設置したテントユニット型救護施設を提案した。このテント内では、温熱快適性の向上と利用者の温冷感・快適感の向上が確認でき、暑熱環境を緩和するクールスポットとしての活用が期待できる。
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小田 僚子, 橋北 太樹, 菅原 広史, 清野 直子, 稲垣 厚至
p.
37-42
発行日: 2016/11/28
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
フリー
首都圏では局地的大雨が多発し都市水害が深刻化しており,その発生場所や時間,降雨の規模などを予測し災害を最小限にすることが望まれている。本研究では,東京湾周辺の沿岸部4 地点に屋外ネットワークカメラを設置し,都心および東京湾上の大気場を常時観測するシステムを構築した。ステレオ観測により,都心で発生した積乱雲の成長初期段階から発生場所と発達高度を定量的に評価できることを示した。また,夏季における雲の流れ場から,雲の存在高度が2 層となっている状況は約35%あった。下層の雲の動きは衛星画像から捉えることは困難である一方,降雨の発生には下層の大気の流れを把握することが重要であることを指摘した。
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山﨑 雄大, 常松 展充, 横山 仁, 梅木 清, 本條 毅
p.
43-48
発行日: 2016年
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
フリー
本研究では2020年の東京五輪のマラソンコースを例に,その温熱環境を把握することを目的として,MRT(平均放射温度)とWBGT(湿球黒球温度)の計算事例を示した。その結果,猛暑日である2015年8月7日の事例では,9時~18時でコース上のすべての地点でWBGTが熱中症の「厳重警戒レベル」とされる28℃以上となった。またコース上にできる影によってWBGTが低下するため, 日陰を選んでコース取りをすることにより,ランナーが体感するWBGTを低く抑えられる可能性が示唆された。
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江部 杏奈, 辰己 賢一
p.
49-54
発行日: 2016/11/28
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
フリー
夏季の晴天日における東京湾埋立地における土地利用が,その周辺の熱・風環境に与える影響を,領域気象モデルWRF を用いて解析した。本数値実験により,以下のことが明らかとなった。 沿岸域の土地利用を現状から森林にした場合,1)6 時から15 時の時間帯では森林化による気温の差はほとんど生じなかった一方,6 時から15 時を除く時間帯において,埋立地の代表的な地点において平均1.4℃の気温低減効果が見られた。2)沿岸域の海風の風速は,森林化したケースの方が小さくなった。3)比較的冷涼な風が浸透した領域は埋立地から内陸方向に最大10km 程度に留まった。
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高山 範理, 斎藤 馨, 藤原 章雄
p.
55-60
発行日: 2016年
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
フリー
野外宿泊体験等を含む2泊3日の森林滞在によって,利用者の心身に生じる影響について調べるため,2014 年10 月下旬,東京大学秩父演習林にて計7名を対象者とした調査を行った。調査期間は毎日早朝演習林内にて,生理指標(血圧・脈拍・唾液アミラーゼ),心理指標(POMS・PANAS・ROS・SD 法)の測定を行った。分析の結果,生理指標では血圧,唾液アミラーゼにおいて有意差がみられ,それぞれ日毎に低下していた。心理指標ではPOMS の緊張-不安,抑うつ-落込み,混乱に有意差(または有意傾向)があり,それぞれ日毎に低下していた。一方,ROS には有意傾向があり,日毎に上昇していた。本研究によって,キャンプ的利用による長時間の森林滞在により心身の回復にポジティブな効果をもたらす可能性が示された。
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木下 朋大, 尾﨑 平, 盛岡 通
p.
61-66
発行日: 2016年
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
フリー
わが国は高齢化社会に突入しており,生活習慣病予防のためには,多くの世代が手軽に実践し,継続できる運動プログラムが必要である。そのため,本研究では健康ウォークを継続して実践できる支援システムの検討を行い,学生を対象とした運動プログラムの実践前後の介入効果を考察した。その結果,本プログラムは,BMI や血圧等について大きな変化は認められなかったが,平均歩数やEx 量を増加させる効果があることを確認した。
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東海三県の観光業において
佐尾 博志, 大武 ゆか里, 森杉 雅史
p.
67-72
発行日: 2016/11/28
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
フリー
近年,日本では国内や海外向けの様々な観光業の支援事業を実施している。その事業の効果を算出するために,産業連関分析が用いられる。しかし,この分析で算出される影響力係数は任意のある産業部門の活性化による他の産業部門が受ける影響力を把握することが出来ない。本研究では,経済波及効果の指標となる影響力係数の新たな算出方法を提案するために,愛知県,岐阜県,三重県の観光業を対象に,各県が公表している2005 年の県内産業連関表をもとに,一般的に用いられている影響力係数と本研究で提案する影響力係数を算出した。その結果,本研究で提案する影響力係数は任意の産業部門が与える他の産業部門への影響の度合いを示すことが出来た。
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山本 清龍
p.
73-78
発行日: 2016年
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
フリー
本研究では,登山者数の上限設定に対する検討が行われている富士山を事例として取り上げる。研究目的は,①登山者の属性,登山特性を把握した上で,登山者数の上限設定に対する意向を明らかにすること,②登山者の属性,登山特性,登山者数の上限設定に対する意向の関係性から,登山者数の上限設定を検討する際の論点を整理し考察すること,の2点である。その結果,富士登山者の属性は,年齢が20~40代で77%を占め,登山目的では御来光を見ることが72%,頂上まで登ることが71%で最も多かった。また,登山者数の増加が自然と文化に悪影響を及ぼすという意識は登山者数の上限設定の賛否に関係していた。
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小林 昭裕
p.
79-84
発行日: 2016年
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
フリー
本研究では,遭難事故が急増する長野県を事例とし,長野県警による遭難記録をもとに分析を行い,遭難事故軽減策を検討した。2010年以降の山岳遭難件数の急増は,遭難発生確率が上昇したことも含め,登山者のリスク対応能力(体力や判断力)の低下によるところが大きいと推察された。山域と遭難者の年齢が遭難態様に関わる既往研究の指摘をもとに,2010年以降の特性を分析した結果,事故に陥る可能性の高い山域において,登山者自身のリスク対応能力が低い登山者が入山した場合,遭難発生確率が高まると推測された。そのため,各山域の遭難特性に応じて登山者に対応能力に応じた対処方法を周知する仕組みが必要であると考えられた。
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環境への義務か格好良さの追求か
脇田 和美, 大石 太郎
p.
85-90
発行日: 2016年
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
フリー
本研究は、米国消費者が環境に関して有する規範や態度がグリーンコンシューマー行動意図に与える影響について分析した。米国消費者700 名のウェブアンケート調査結果に対して因子分析および共分散構造分析を行った結果、格好良いライフスタイルの追求がグリーンコンシューマー行動につながる要因であることが示された。一方、環境への義務は同行動につながる要因であるとはいえないことが示された。米国でグリーンコンシューマー行動意図を促進するためには、環境教育等による環境への義務感の向上といったアプローチより、環境に配慮したライフスタイルの格好良さを強調するアプローチが効果的だと考えられる。
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甲野 毅
p.
91-96
発行日: 2016/11/28
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
フリー
本研究は,身近な自然環境を題材とした企業環境教育プログラムを計画,実施し,その効果を明らかにし,難易度の高い環境配慮行動を促進させるような効果的な内容と形態を示すことを目的とした。講師として参加している企業に協力依頼,および環境教育プログラムを計画し,2007 年 10 月から4 回の実践を計70 名の社員に行った。その結果,受講者の自然環境の知識,環境への意識と環境配慮行動に変化があったことより,効果があったとことが明らかになった。またその内容として身近な自然環境の里地・里山における,生活とのかかわりや共生方法,課題を取りあげ,気づきを促す形態のプログラムが効果的であることが,自然環境保全活動促進モデルにより示めされた。
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メコン河とドナウ川流域管理のための制度的枠組みに関する比較研究
小林 正典
p.
97-102
発行日: 2016/11/28
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
フリー
効果的な環境管理および持続性推進において、市民の情報アクセスや意思決定参加は重要な要素を成す。しかし、政策・制度的枠みや管理組織の機能は事例により大きく異なる。メコン河委員会は事前通知・協議・合意手続きといった先進的取組を導入しているものの、依然として加盟国間での紛争が生じている。 一方、水力発電プロジェクトが増大する中で、ドナウ川流域国は政策や制度的仕組みを調え、協力関係を維持し、情報公開や市民協議を行うなどして、紛争を予防してきている。
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金澤 朋子, 鳥谷 明子, 小島 仁志, 小谷 幸司, 安藤 正人, 村田 浩一
p.
103-106
発行日: 2016/11/28
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
フリー
本研究では,動物園の役割のひとつである「環境教育」に着眼し,その効果を高める上で重要なツールである解説板の設置位置と来園者行動との関係性を検討した。横浜市立金沢動物園のインドゾウ展示場を対象に,解説板の設置位置を3 パターンに分け,展示場前の観覧通路を7 区分した上で来園者行動の観察および来園者に直接解説板への関心の有無を確認し,解説板に対する関心度合の把握を行った。その結果,来園者の解説板に対する関心は高いことに加え,解説板を展示場の両端に設置した場合と中央に設置した場合とでは来園者行動が異なることなど,動物園における「環境教育」の機会がより広がる有用な知見が得られた。
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中野 信宜, 藤原 宣夫
p.
107-110
発行日: 2016/11/28
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
フリー
近年我が国の河川で増加している外来植物ヒメツルソバについて,その基礎的生態を明らかにするため,本種の種子の発芽に及ぼす光と温度の影響を発芽試験により確認した。2015 年春に野生株から採取した種子を用い,光の有無,温度交代の有無,三段階の温度条件による試験区を設けた。各区の平均発芽率について比較すると,光の有無や温度交代の有無では平均発芽率に有意差は無かった。また平均気温が30℃の条件下では25℃と比較し平均発芽率が有意に低くなった。以上のことから,ヒメツルソバの発芽には光環境はあまり影響せず,また30℃以上の高温は本種の発芽を阻害することが示唆された。
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ツシマヤマネコ保全活動を事例として
堤田 成政
p.
111-116
発行日: 2016/11/28
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
フリー
政府や科学の透明性を高める手段としてオープンデータが注目されるなか,希少種保全活動に関するデータのオープン化は生息環境と保全活動にいかなる影響を及ぼすのか。その影響を把握することは容易ではない。本研究では希少種の生息環境の撹乱リスクを高めることなく保全活動を加速させること目標とした,データのオープン化を戦略的に検討するためのツールとして,データ公開による保全活動への影響,生息環境撹乱のリスクを相対的に図示化したフレームワークを提案する。事例として,長崎県対馬に生息するツシマヤマネコの保全に関わる主体者から情報公開の状況やデータのオープン化への対応状況に関する聞き取り調査を実施し,提案したフレームワークの適用を試みた。
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長坂 貞郎, 上田 眞吾, 山嵜 高洋, 石川 重雄
p.
117-122
発行日: 2016/11/28
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
フリー
小規模閉鎖水域において,水温,日射,流速の有無,浮遊性植物の有無が植物プランクトン増殖とどのような関係にあるのかを実験的に検証するために,水槽を用いたモデル実験を行った。様々な季節に実験を行った結果,増殖に水温が大きく影響していることが示唆された。日射の制限について,制限する割合の違いによる抑制効果の違いは明確にはみられなかった。流速の有無については,流速を与えないより与えた方が増殖抑制効果があることがわかった。また,日射の制限と流速を与えることを同時に行うと増殖抑制効果が上がることが示唆された。無機栄養塩類について,浮遊性植物による減少が認められ,増殖抑制効果がある可能性が示された。
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佐々木 章晴
p.
123-128
発行日: 2016/11/28
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
フリー
野付湾は,アマモ(Zostera marina)が生育しておりホッカイエビ(Pandalus latirostris) の漁場になっている。野付湾に流入する河川水質がアマモやホッカイエビに与える影響および,河川水質に影響する要因について検討した。T-N 濃度が0.6-0.9mg/L であった飛雁川,九虫川の河口付近では,アマモ生育質量およびホッカイエビ資源量の減少率は小さかった。一方,T-N 濃度が1.7-4.7mg/L であった当幌川,茶志骨川の河口付近では,アマモ生育質量およびホッカイエビ資源量の減少率は大きかった。河川水のT-N 濃度は,流域窒素投入量が増加すると増加する傾向があった。流域窒素投入量は,酪農家の購入飼料,化学肥料の購入量が増加すると増加した。
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黒田 貴綱
p.
129-132
発行日: 2016/11/28
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
フリー
カヤネズミは,里地では水田内,畦畔,耕作放棄地などの草地に営巣することが知られているが,我が国に一般的に見られる,草地の農的管理が十分に実施されている水田地域において,その営巣状況は不明な点が多い。本研究では,営農者を中心とした住民へのアンケートと営巣確認調査により,本種の営巣状況の把握を目的とした調査研究を実施した。農的管理が十分に実施され、草本類が伸長した畦畔や耕作放棄地が存在しない地域において本種の営巣が確認され,稲が成長した水田が本種の営巣環境として機能していた。
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水陸両生外来植物対策に関する事例研究
上河原 献二
p.
133-138
発行日: 2016/11/28
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
フリー
水陸両生の侵略的外来植物の対策事例に関し,早期対応が実際に行われたかどうかを確認した。その結果,ある程度問題が深刻化してから本格的な対策が行われたことを確認した。早期対応論に反し、政策過程では早期であるからこそ行政主体により問題が見過ごされている。その主な要因として,①科学的不確実性が大きいため過小評価されがちであること,②財源制約,③誰が対策を行うべきか法制度上明らかではないこと,④当初社会の関心が低く政治的圧力が弱いことが考えらえる。対策を促進する要因として,①事態の深刻化,②専門家や地域の有力環境団体からの働きかけ,③外部資金の提供,④協議会の設置,⑤政治的指導力が考えられた。
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音による生態系評価へ向けて
相野田 幸司, 田中 章
p.
139-144
発行日: 2016/11/28
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
フリー
現在の環境アセスメントにおける生態系評価は,①時間と労力を要する,②定量的評価より定性的評価が主体で主観的な評価が多い,③調査者の知識によって評価結果が左右される,④他の評価項目との関係性はほとんど考慮されていないなどの課題がある。今後は近年の簡易アセスの要求と共に,簡易的かつ定量的な生態系評価の必要性が高まるだろう。本研究は,音による簡易的な生態系評価の可能性の検討を目的とし,音声データの自然音と人工音の割合の解析による周囲の生態環境把握に着目し,屋外収音調査を行なった。結果,昼間(6am-6pm)における各調査地の音声データと周辺緑被率,さらには植生の階層構造の間に正の相関が認められた。
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杉村 乾
p.
145-150
発行日: 2016/11/28
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
フリー
奄美大島には多くの希少種が生息し,その保全と林業及びツーリズム利用を共存させていくことが課題となっている.本研究では森林伐採及びツーリズムの現況を把握したうえで,管理方針が確定している宇検村を事例地域として希少種保全に留意する森林管理方針の選択肢について評価した.伐採は大半が宇検村と大和村で行われているのに対し,ツーリズムの対象は奄美市の原生林とアマミノクロウサギに集中していた.林齢を基準に林業,希少種保全,ツーリズムの評価指標を定め,選択肢を比較した結果,全ての選択肢で近年の伐採面積を上回る実績が上げられることに鑑みて,一部を短伐期,残りを長伐期と禁伐域に設定するのが妥当と考えられた.
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佐藤 秀樹
p.
151-156
発行日: 2016/11/28
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
フリー
バングラデシュ・クルナ市では,「ウエイスト・ピッカー」と呼ばれるインフォーマルセクターの労働者が街のごみ集積場や最終処分場で有価廃棄物を収集し生計を立てている。手袋や長靴を身につけない人が多いため, 彼らの約70%は皮膚そう痒の疾患を患っている。彼らの労働衛生の環境改善に関する必要性は指摘されてきたが,能力向上を図るための衛生教育は十分でない。そこで,本研究では彼らの衛生教育の必要性と教材開発の内容に関する方向性を考察した。その結果,視覚教材開発や体験学習を通じて,「ごみ」,「安全管理」,「健康」の視点から,彼らの生活環境やメンタルケアを含めた教育の重要性が認識された。
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高橋 正弘
p.
157-162
発行日: 2016/11/28
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
フリー
2015 年にコウノトリの野生復帰が実施された千葉県野田市と福井県越前市において,現地への訪問・聴き取り調査および放鳥直前と直後にそれぞれの住民を対象とした質問紙調査を行った。 そして質問紙調査の中から,環境教育・意識啓発に関する部分を取り上げ,「環境教育の実施状況」「放鳥コウノトリ不在についての住民の考え」「事業に批判的な意見の類型化」の3つを検討した。 その結果,放鳥されたコウノトリが定着しなかったことについては現状を是認する意見が多いことが明らかになった。また事業に批判的である住民の考え方を,時期尚早であること,政策自体に対する疑問,他の課題を優先すべき,という三つの類型で示すことができた。
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平山 奈央子
p.
163-166
発行日: 2016/11/28
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
フリー
本研究は参加型灌漑管理における末端水路管理者のコミュニケーション回数に影響を与える要因を明らかにしようとするものである。調査は南スラウエシ州ビリビリ灌漑地域の最下流に位置するカンピリ地域を対象とし,2014 年乾季作中の末端水路の管理者(現地職名:Mandoro Jene,以下「MJ」)のコミュニケーション回数,非灌漑地面積の割合,水利組合やMJ の属性についてデータを収集し,それらを用いて重回帰分析を行った。その結果,灌漑水路最上流(堰)からの距離が遠い,また,管理面積が大きい水利組合ほど非灌漑地面積の割合が高く,非灌漑地面積の割合が高い水利組合ほど末端水路管理者のコミュニケーション回数が多い傾向があることが明らかにされた。
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高 歓, 上山 肇
p.
167-172
発行日: 2016/11/28
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
フリー
東京都多摩地域では市民協働による環境保全活動が積極的に行われており,全国で注目されている。本研究では多摩地域30市町村の自治体にアンケート調査を行い, 行政の視点から多摩地域における市民協働による環境保全活動の実態を明らかにすることを目的とした。その結果,多摩地域における環境保全活動は主に行政主導で行っていることなどが分かった。今後の課題として,行政は住民発意による活動の実施を支援する仕組みを整えることなどが必要である。
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小海 諄, 畔柳 昭雄, 菅原 遼
p.
173-176
発行日: 2016/11/28
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
フリー
全国各地の河川においてで河川環境整備としての「多自然川づくり」が展開されてきて久しい。本研究では,河川環境整備の先駆的事例である横浜市和泉川を対象に,整備後の市民団体と行政の係わり合いの現状を把握し,その実態を明らかにすることを目的とした。そのため,和泉川に係わる市民団体及び関連自治体を抽出し,関係者に対するヒアリング調査を行った。加えて,現地踏査を実施し河川の状況を捉えた。 その結果,河川利用及び管理に対し,諸主体間において係わり方に差異が生じていることを見出した。
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地域構造と学校防災教育を事例として
坪井 塑太郎
p.
177-182
発行日: 2016/11/28
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
フリー
2015 年4 月に発生したネパール・ゴルカ地震では,学校教育機関においても甚大な被害が生じ,5,000 校を超す学校建物の倒壊・損傷のほか,200 名以上の生徒の人命が失われている。本研究では,同災害における被災と社会・地域構造の関連について,現地調査およびGIS による地域統計分析により検討を行い,被災地の学校防災教育における現状と課題を明らかにすることを目的とする。同国では,発災後,学校教育機関を通じた児童・生徒への心のケア(Psychological Counseling)が実施されたほか,学校施設再建に向け,教室設計指針の策定も行われているが,これまで,NGO 等が中心となって実施してきた防災教育の「誤認」による死傷者の発生や,多民族・多言語社会を抱え,伝統的なカーストや,識字率の性差の存在などが復興推進の課題となっている。
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諸頭 晴奈, 坂本 麻衣子, Ahmed Tofayel
p.
183-188
発行日: 2016/11/28
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
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自然災害の影響を受けやすいバングラデシュでは,草の根レベルで活動を行うNGO が重要なアクターとなっているものの,近年の同国での災害に関わるNGO についてまとめた先行研究はあまり見られない。 本研究では,災害に関わるバングラデシュのNGOを調査し,その活動場所と被災地やハザードマップとの関連度合いを,主にGeographic Information System(GIS)で地図上に反映させることで分析した。この結果,被災地とNGO の活動にはある程度の関連性が見られたものの,ハザードマップとの関連度合いは低く,またファンドの使用地域にも偏りが見られるなど,NGO の活動が公平に実施されていない状況が明らかとなった。
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カンチャナブリ県の事例
木村 健一郎, 米田 令仁, 竹中 浩一
p.
189-194
発行日: 2016年
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
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コミュニティーフォレストリーは気候変動の緩和策の一つであるREDD プラスにとって重要と位置づけられている。タイはコミュニティーフォレストリーが活発な地域であり,タイの事例を分析することは,同様の植生を持つインドシナ半島の他の地域にとって有益である。本調査ではタイ中部において活動している優良コミュニティーフォレストリーについて,活動内容,活動歴,活動対象地域の住民概況などを調査し,コミュニティーフォレストリーが地域に受け入れられる理由について分析した。その結果,森林から得られるNTFPs,中でもタケノコの販売が住民の所得改善に繋がり,住民の理解を得られ,活動が継続する理由であった。インドシナ半島ではタケノコを利用する地域が多いことから,REDD プラスにおける竹林の取り扱いは重要と考えられる。
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陝西省呉起県のスーパーマーケットを例に
原 裕太, 淺野 悟史, 西前 出
p.
195-200
発行日: 2016/11/28
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
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中国・黄土高原では環境保全策「退耕還林」にともなう食糧・現金補助や労働構造の転換によって,地域住民は雑穀を中心とした自給自足を辞め,コムギ,コメを購買するようになった。しかし,こうしたコムギ,コメの産地の構成や食生活の変化が生じた背景には不明な点が多い。本研究では陝西省呉起県を事例にコムギ,コメの販売の生産元を調査した。その結果,コムギ,コメの生産元は,近隣穀倉地域,遠隔地となる全国規模の生産地,香り米を生産する国外産地の3つに大別でき,こうした流通が形成された背景として,生産地と消費地の地理的近接性,全国規模の流通ネットワーク,所得増加による食の嗜好の多様化が示唆された。
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王 培厳, 馬 嘉, 三谷 徹, 章 俊華
p.
201-206
発行日: 2016年
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
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本研究は中華民国時代の青島における八大関別荘区の115棟の建築を研究対象とし,立地特性と周辺環境との関係を明らかにする。階層クラスター分析により,丘の麓の南斜面に立地し海湾の眺望確保を中心としたグループA(18 カ所),丘の中腹に立地し太平山の眺望を確保しながら,特定の山や海湾が見え,採光および夏の南東季節風に沿ったグループB(47 カ所),丘の頂上の北側斜面に立地し山の眺望を確保しながら,特定の海湾が見え,採光および夏の南東季節風に沿ったグループC(50 カ所)に分類された。青島八大関別荘は,立地する標高と斜面の向きによって採光と南東季節風の方向と,海湾および山の眺望を追及したと考えられる。
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時任 美乃理, 西前 出, 淺野 悟史
p.
207-212
発行日: 2016/11/28
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
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ベトナム社会主義共和国では,ベトナム戦争後に行われた少数民族の定耕定住政策や森林政策によって土地利用形態が大きく変容しており,中部山岳地域では多くの少数民族農村においてアカシアの造林業が拡大している。本研究では,世帯単位での聞き取り調査と,各世帯が利用権を持つ林業地の立地条件に関するデータを用いた空間分析によって,各林業地の地理的条件に起因する材搬出難易性の違いを示した。材搬出の難易性は仲介業者の買い取り価格に反映されることから,得られる収入にも差異が生じることが想定された。林業地の適切な評価に基づく住民支援のあり方の重要性を指摘した。
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舟引 敏明
p.
213-218
発行日: 2016/11/28
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
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本論は,複雑な都市公園制度における公共と民間の関係を把握するため,民間事業者の導入制度の成立経緯について時系列的に検証,考察し,明治期の公園制度の成立から都市公園法成立時までの時期,都市公園法成立から公園内の収益施設への参入方策の展開の時期,公共業務への参入方策の展開の3 つの時期に区分されることを示した。そして収益施設の参入と公共業務への参入が異なる動機と性格を持つことを示すとともに,民間事業者の法制度上の全体構造を示した。あわせて今後の民間事業者の展開の課題と方向性を考察した。
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安 可, 吉田 謙太郎
p.
219-224
発行日: 2016年
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
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本研究では,中国雲南省蒼山?海国家級自然保護区における流域河川の水質向上を目的とする湿地再生等の生態補償制度及び生態系保全のための保護地域拡大について,雲南省住民を対象として,選択実験による経済評価を実施した。選好の多様性を考慮した混合ロジットモデルと潜在クラスモデルを適用することにより,推定結果の適合度が向上した。また,?海の保護地域面積拡張に関して住民が多様な選好を有することが明らかとなった。
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沖縄県浦添市を事例として
長原 すみれ, 木島 真志, 西森 泰之, 大田 伊久雄
p.
225-230
発行日: 2016年
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
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人々が身近な場所で緑地の恩恵を享受できる,住宅系市街地の創出は,都市計画の重要課題の1 つである。本研究では,地域住民が緑化地の景観的便益を享受することを前提とした,緑化候補地配置の探索に関わる基礎的な研究を行った。具体的には,施設配置問題に広く用いられている, 整数計画法を応用し,地域住民の緑地へのアクセシビリティを考慮した,効率的な緑化候補地配置パターンを探索可能な最適化モデルの構築を試みた。そして,このモデルを沖縄県浦添市に適用し, 地理情報システム(GIS)を用いて,簡単な緑化条件を設定し,数値実験を行った。
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-いなみ野台地を事例として-
和田 有朗, 山内 九仁男
p.
231-236
発行日: 2016年
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
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いなみ野台地のため池群が保全管理の危機に直面している。本研究では,ため池について文献調査,ヒアリング調査,および明石市で管理者アンケート調査を行い,いなみ野ため池ミュージアムでのアンケート調査結果を踏まえて,その実態と経緯,問題点を明らかにし,保全管理のための解決策を提案することを目的とした。その結果,1960 年代からの50 年間に現在のため池の保全管理の危機を招いたことが明らかとなり,ため池を存続させるためには,ため池の保全管理への地域住民の参加をさらに高めることが重要であり,広報誌の有効利用および地域住民への意見聞き取り調査の実施が重要であることを示した。
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谷 政智, 原 祐二, 三瓶 由紀
p.
237-242
発行日: 2016/11/28
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
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本研究では,堺市旧野田村地区を対象とし,旧版大縮尺地形図および灌漑図をデジタル化して構築したため池・水路網ならびに農地利用図と郷土史文献資料,カエル類の鳴き声の録音調査により,灌漑水田景観が卓越する農村地域の都市化による水路管理・農地環境の変化とその要因,生物生息への影響の把握を行った。その結果,都市化は水路の暗渠化や農地の断片化をもたらしてきたが,水利組合には流量増加や寄附金収入なども一時的にもたらされること,乾田化や水路・畦畔のコンクリート舗装に適応できないカエル種が現在は少ないことが明らかになった。
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山口 創, 吉田 康子
p.
243-248
発行日: 2016/11/28
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
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本研究は,農場実習の実習後に記述する「出席カード」の内容をテキストマイニングを用いて分析することにより,農場実習の学習内容把握手法としてのテキストマイニングの有効性を検討した。分析の結果,主に作物の生態的特徴,作物の栽培技術,農業の大変さの理解といった学習内容を抽出することができ,テキストマイニングの有効性が示された。また,実習内容と学習内容を比較することにより実習プログラムの改善点を示すとともに,分析プロセスから,学習内容の把握手法としてテキストマイニングを導入する上での留意点を示すことができた。
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今田 寛典, 張 静
p.
249-254
発行日: 2016/11/28
公開日: 2016/11/28
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著者らは,子どもの樹木景観の認知構造について注目している。そこで,小学児童と中学生徒を対象に「私の好きな樹木のある風景」絵画コンクールを行った。コンクールでは絵画の対象とした樹木を選んだ理由も100字程度で求めた。この自由記述データをテキストマイニング手法により定量的に分析し,子どもの樹木に対する景観認知について考察することを目的としている。得られた主要な知見は以下の通りである。(1)子どもは多様な視点場や視対象を指摘している。(2)成長とともに行動範囲が拡がり,風景の中での樹木として景観を認知している。(3)テキストマイニング手法の有効性を示すことができた。
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西村 武司, 大西 有子, マレー ハイン, 谷口 真人
p.
255-260
発行日: 2016年
公開日: 2016/11/28
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要旨:本稿の目的は,テキストマイニングによりアンケート調査の自由回答の記述内容を分析し,市民が環境問題に関心を持ったきっかけについて検討することである。コレスポンデンス分析の結果,(i)関東地方居住者は東日本大震災,近畿地方居住者は琵琶湖の水質や大気汚染,(ii)若年層は学校教育,高齢層は仕事や地域社会活動,子育て世代は子供をきっかけとして環境問題に関心を持ち,(iii)マスメディアを情報源としたり,将来に不安を抱く市民は環境問題に関する知識の主観的評価が低い一方,仕事や地域社会活動,学校教育を通して関心を持ったり,環境に対する好意的な感情や価値観を有する市民は知識の主観的評価が高いことが明らかになった。
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札幌市環境基本計画改定に向けたアンケート調査の二次分析
森 康浩, 小林 翼, 大沼 進
p.
261-266
発行日: 2016/11/28
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
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本研究の目的は,1) 多岐にわたる複数の環境配慮行動を同時に測定し,行動ごとの特徴や阻害要因について検討することで具体的な促進方法についての知見を得ること,2)環境配慮行動の普及・促進により環境問題とは異なる領域への波及可能性についての認知を検討することであり,札幌市環境基本計画改定に向けた質問紙調査の分析を行なった。その結果,環境配慮行動促進に向けて面倒さを軽減することや機会をつくることの意義が示された。さらに,波及効果の認知について,環境配慮行動と関連していること,一般市民も市民団体及び事業者も強く認識していた。
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伊藤 優美, 坂本 麻衣子, 松山 章子
p.
267-272
発行日: 2016/11/28
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
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本研究では,2015 年7 月30 日にバングラデシュに上陸したサイクロンKomen に関して,ジェンダーという要素が被災後の生活の復興に向けた人々の行動においてどのような影響を及ぼしていたか,金銭の貸借行動と食料の調達に係る行動に着目し分析した。被災地でのアンケート調査の結果,被災後の家計の維持管理に向けた借金行動において,ジェンダーに基づいた社会関係資本や家庭内での役割,目的の差異により,借金の相手,タイミング,金額の3 点に関して夫婦間で異なる傾向が示唆された。また,夫婦間での食料へのアクセスと確保に関する差異より,女性の方が被災後に栄養バランスが偏りやすく,健康面で影響を受けやすくなっていた可能性が示唆された。
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上東 伸洋, 坂部 創一, 山崎 秀夫
p.
273-278
発行日: 2016/11/28
公開日: 2016/11/28
会議録・要旨集
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本研究ではSNS 交流が,共感力や現実の友人関係,QOL(Quality of Life)を連鎖的に向上させるという仮説を設定した。そして,情報系大学生を対象に集合調査法で調査し,共分散構造分析で検証した。その結果,SNS 交流がそれらの要素を向上させていることが検証された。また,SNS 交流のネットと現実の共感力へ及ぼす促進効果が現実友人関係やQOL に与える影響は,SNS 疲れやテクノ・ネット依存症傾向の悪影響よりもその向上効果が高いことが示された。さらに,ネット共感力が現実共感力を向上させる可能性も示唆された。
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久保 暁子, 山本 清龍
p.
279-284
発行日: 2016年
公開日: 2016/11/28
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要旨:本研究では,岩手山を事例として取り上げて,山岳遭難に関する事故リスクの削減を企図して,①登山者の属性,登山特性,事故リスク削減に対する意識を明らかにすること,②単独登山志向を持つ登山者の属性,登山特性と事故リスク削減に対する意識との関係性から単独登山者の事故リスク削減のための示唆を得ること,の2 点を目的とした。その結果,岩手山では年代が50-60 代(56%),20 回以上の豊富な登山経験を持つ登山者(72%)が多く,単独登山者は28%であった。 また,単独志向の登山者ではグループ志向の登山者よりも事前の情報収集など事故リスク削減に対する意識が低く,背景として経験ゆえの慣れがあると考えられた。
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