本研究は中華民国時代の青島における八大関別荘区の115棟の建築を研究対象とし,立地特性と周辺環境との関係を明らかにする。階層クラスター分析により,丘の麓の南斜面に立地し海湾の眺望確保を中心としたグループA(18 カ所),丘の中腹に立地し太平山の眺望を確保しながら,特定の山や海湾が見え,採光および夏の南東季節風に沿ったグループB(47 カ所),丘の頂上の北側斜面に立地し山の眺望を確保しながら,特定の海湾が見え,採光および夏の南東季節風に沿ったグループC(50 カ所)に分類された。青島八大関別荘は,立地する標高と斜面の向きによって採光と南東季節風の方向と,海湾および山の眺望を追及したと考えられる。