主催: 一般社団法人環境情報科学センター
p. 55-60
野外宿泊体験等を含む2泊3日の森林滞在によって,利用者の心身に生じる影響について調べるため,2014 年10 月下旬,東京大学秩父演習林にて計7名を対象者とした調査を行った。調査期間は毎日早朝演習林内にて,生理指標(血圧・脈拍・唾液アミラーゼ),心理指標(POMS・PANAS・ROS・SD 法)の測定を行った。分析の結果,生理指標では血圧,唾液アミラーゼにおいて有意差がみられ,それぞれ日毎に低下していた。心理指標ではPOMS の緊張-不安,抑うつ-落込み,混乱に有意差(または有意傾向)があり,それぞれ日毎に低下していた。一方,ROS には有意傾向があり,日毎に上昇していた。本研究によって,キャンプ的利用による長時間の森林滞在により心身の回復にポジティブな効果をもたらす可能性が示された。