抄録
2015 年10 月にコウノトリの再導入を行った福井県越前市において,市民を対象にアンケート調査を2回実施した。アンケート票の自由回答欄に書かれたテキストには市民の生の声が現出していることを前提とし,それらを切片化した上で分類する作業を行った。その結果,賛否に関する記述は「賛成・支持」「反対・不支持」「無関心」という3つのカテゴリーに,また課題をめぐっては,「課題の指摘」「課題の認識」「課題の知識」「課題への態度」という4つのカテゴリーに,それぞれ類型化することができた。この方法によって,量的データでは把握することができない市民の再導入をめぐるさまざまな考えの分布が,量的分析との比較で差異があることが明らかになった。