環境情報科学論文集
Vol.32(第32回環境情報科学学術研究論文発表会)
選択された号の論文の57件中1~50を表示しています
研究論文
  • - インドネシアの実証分析
    タタリヤント フィルマン
    p. 1-6
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
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    インドネシアのヘイズ(大気汚染)は東南アジアにおける深刻な環境問題の一つである。 本稿では, ヘイズ(大気汚染)の規制手段の組み合わせによる財政能力の影響を検討することにより, 環境規制措置と税規制が共存し補完する可能性を実証的に示す。税政策が, ホットスポットの発生を1.47%. ヘイズ(大気汚染)対策に役立つ緑化税制に移行政策を提案し, 統計的に有意な抑止効果を低下させています。
  • 高橋 進, ダルマワン アリフ
    p. 7-12
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
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    本研究では,インドネシアにおける森林保全効果について,地域住民への対応の違いなどガバナンスの異なる2国立公園で比較した。森林への大規模な違法侵入が見られるブキット・バリサン・スラタン国立公園では,原生林を含む森林減少率の著しい増加がみられ,原生林はコーヒー・プランテーションに転換された。一方,住民との協働管理が行われているグヌン・ハリムン・サラック国立公園では,森林減少率は小さく,ガバナンスの違いによる森林保全効果が明らかになった。 また両公園とも,核心的な保護ゾーンでは,原生林の減少は小さく,ゾーニング効果も認められた。
  • 朝隈 友哉, 奥岡 桂次郎, 谷川 寛樹
    p. 13-18
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
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    循環型社会形成に向けて,都市における詳細な物質ストック分布を時系列で広範囲に渡って把握することが急務である。本研究では,地理情報システムによる年代間での同一性判定を用いることで,東京都市圏における空間分布及び時間変化を可視化し,建築物更新量の推計を行った。 東京都での建築物更新は2003 年から2009 年にかけて着工総面積が134 百万m2,解体総面積が 80 百万m2,2009 年から2015 年にかけて着工総面積が103 百万m2,解体総面積が96 百万m2 となった。本研究で推計された着工量は,東京都統計年報による統計値と比較して0.7-1.2 倍,解体量は3 倍程度の値となった。
  • 邱 聖娟, 吉田 徳久
    p. 19-24
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    中国四都市(北京,上海,天津,重慶)の2004~2014 年のエネルギー起源のCO2 排出量の変動要因を,東京を対照として茅方程式を用いて分析し,低炭素化と大気汚染政策を統合的に考察した。結論として:(1) CO2 排出量の押し上げ要因は主に経済要因で,押し下げ要因は2004 年以降の炭素集約度の低下に加え,2010 年以降に急速に進んだエネルギー強度の低下である。(2)政策との関係からみると,2010 年以前は大気汚染対策(特にSOx 対策)のコベネフィットとして低炭素化が進み,四都市とも2013 年までにCO2/GDP の2020年目標レベルに到達した。さらに, 2010 年以降の低炭素化政策の本格化で,CO2 排出総量が抑制され,北京では減少傾向に転じた。
  • 小坂 真理
    p. 25-30
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
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    SDGs 実施の際には,ひとつのSDG ターゲットを実施した結果,その他のターゲットの達成に相乗効果をもたらすのか,または達成を阻害するような負の影響の発生を回避できるかという点を考慮しながら,対策に一貫性をもたせる統合的アプローチの視点が必要である。SDG ターゲット12.6 では定期報告書に持続可能な開発に関する事項を報告することを企業に求めているため,本研究では,世界の企業を対象としたFortune Global 500の上位100 企業のサステイナビリティ報告書を対象として,統合的アプローチの視点をもったSDGs の記載をしているかを分析した。 分析の結果,企業は17 のSDGs 目標を独立的に捉える傾向があり,統合的に実施する視点は持ち合わせていないことがわかった。また,SDGs の記載をしている約7 割の企業は現状の活動を整理するマッピング作業を行っているが,マッピングを行うこと自体が目的となってしまい,SDGs の達成に向けた新たな行動が促されていない課題があることもわかった。
  • 胡 嘉誠, 張 亜平, 章 俊華
    p. 31-36
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
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    本研究は建築及び築山,水面の配置の観点から長春園の中の21 か所の庭園を3 種類に分け,更に庭園の機能と結びつけ,庭園空間の特徴を機能別に明らかにする。遊覧観賞機能を持つ庭園の中心には大規模な建築が建てられており,建築と庭園は同じ軸により構成されている。居住機能を持つ庭園は秩序的に並ぶ形式と自由に分散する形式の2種類に分けられる。政治,宗教の機能を持つ庭園は山に囲繞され,かつ中庭となっており外界からは独立している。そして,遊覧観賞機能の庭園は西洋庭園の影響が大きく見受けられる。宗教,居住機能を持つ庭園は全体的に中国の造園様式に則っており,一部は西洋式の造園様式を参考としている。
  • -静岡駅南口石田街道を事例に
    中井 朋子, 上山 肇
    p. 37-42
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,景観の印象を左右する街路樹に注目した。街路樹の効果である景観向上に着目し,街路樹で造られるヴィスタ景の有無によって正面にあるアイストップの印象に変化が生じるのか,さらに街路樹と建物の最適なバランスがあるのかといったことなどについて調査した。静岡駅南口石田街道を事例とし,街路樹で造られたヴィスタ景によってアイストップの印象がどの程度変化があるのかをSD 法を使って調査した結果,街路樹にはアイストップを引き立てる効果だけでなく街路空間に美しさ,落ち着き,賑わい性などを増加させ,圧迫感を減少させる効果もあること,また,街路樹と建物の最適なバランスも建物の高さによって変化することがわかった。
  • 谷下 雅義
    p. 43-48
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
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    本研究は,指定喫煙所からはみ出して喫煙する「はみ出し喫煙」が行われやすい喫煙所の特徴について分析したものである。首都圏29 か所の指定喫煙所を対象に現地調査を行い,はみ出し喫煙率を喫煙所内密度で除した「はみ出し度」を被説明変数として回帰分析を行った。その結果,喫煙所内部の灰皿当たりの喫煙所面積,喫煙所内の煙の滞留のしやすさに加えて,喫煙所周辺の座具の有無と歩行者からの死角となる面積が大きいほどはみ出し喫煙が行われやすく,出入口部の開口率が最も影響力が大きいこと,喫煙所周辺の歩行者数は負に影響を与えていることなどを明らかにした。
  • 大平 和弘, 上田 萌子, 福本 優, 藤本 真里, 赤澤 宏樹
    p. 49-54
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,小規模集落化した旧鉱山まちである兵庫県養父市大屋町明延区を対象に,景観の継承課題を明らかとした。まず,まちの最盛期における建物配置と景観形成要素の残存状況により,歴史ある村の街並みや,川沿いにはり付く住宅群,鉱山社宅群などが継承された景観として重要であることが示された。次に景観資源に対するアンケートの結果,居住者と地域外の主体では,鉱山施設や街並みを残したい重要度の認識に差が生じたことが示された。さらに,空き家の分布調査より街並みや社宅群が危機的な状況といえ,地区ごとの特性に応じた活用方策が考察された。
  • ―重層的視座からの一分析
    陳 奕均
    p. 55-60
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,重層的視座(MLP)を研究手法とし,ニッチ・レジーム・ランドスケープの相互作用および内生的ダイナミクス(政治・経済・市民社会)が如何に脱原発政策決定過程に影響を与えるかを台湾を事例として明らかにすることを目的とした。その結果,連続的な地殻変動(ランドスケープ)が発生したうえ,内生的ダイナミックスによる支持も伴った場合,エネルギー転換の実現をより容易にすることができることを示した。
  • 渡邊 学, 榎原 友樹, 肱岡 靖明, 大場 真, 戸川 卓哉, エストケ ロナルド カネーロ , 永井 克治
    p. 61-66
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    気候変動による影響を最小限に抑えるには,リスクを科学的に捉え,個々の要素に対して適切な対策を行うことが求められる。気候変動による影響のリスクを構成する主要な要素として外力・暴露とともに脆弱性があるとされる。外力・暴露については研究が進む一方,脆弱性については,その指標化や評価が困難であると捉えられてきた。本研究では,まず脆弱性の概念や脆弱性指標の特性について既往研究を基にレビューし整理を図った。その後,脆弱性指標を特定するスキームを開発し提案を行った。本スキームは適応策立案への貢献が期待できる。
  • 髙田 秀之, 望月 亜希子, 中西 修一, 土肥 哲哉
    p. 67-72
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    首都近郊里山林をモデルに,間伐材による小規模バイオマス発電事業の可能性を検証した。 まず,小規模バイオマス発電のモデル収支を計算し,事業が可能となる燃料チップの数量と単価の目標を設定した。次に研究対象地において,航空写真判定による森林資源量の把握および生産可能な木質チップのボリュームを試算した。さらに,木質チップの調達コストの計算を行い,発電事業の可能性や課題,今後の展開を検討した。森林資源調査の結果,針葉樹林や草地の広葉樹林化の進行が認められた。現状では小規模バイオマス発電事業の収益性は低いが,木質チップの生産方法の改善や地域連携による規模拡大,余剰熱利用などにより,事業化の検討が可能であると確認された。
  • 長島 匠, 村山 武彦, 長岡 篤, 錦澤 滋雄
    p. 73-78
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    本研究ではGIS を用いて環境・社会的条件を考慮した地熱導入ポテンシャル評価を行い,全国及び選定した県双方の視点から日本において今後地熱発電を導入するための課題について検討した。その結果,全国での検討では最新の国立公園の規制緩和によって9.3%の地熱導入ポテンシャルが増加する可能性が示唆された。さらに同程度以上の地熱導入ポテンシャルが,温泉地の近隣に存在していることが示された。秋田県,大分県での検討では人口減少に伴う開発の社会的リスクが減少する一方,観光経済面での社会的リスクが増加する傾向が示唆された。
  • 竹内 彩乃
    p. 79-82
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    複雑な社会課題への対応として熟議民主主義が注目されている。効果的な熟議を行うためには,参加者が情報提供を受け,他者を理解し,自らの意見を深めるプロセスが重要である。 本研究では,次世代エネルギーワークショップを事例に,事前,中間,事後のアンケート結果を分析し,意見変化に影響を与える要因について個人とグループの特性に着目して考察した。その結果,先行研究と同様,テーマに関する興味の有無が意見変化に影響していることが明らかになったが,話し合い等双方向の機会より,情報提供のような受け身の機会によって起こっていた。熟議による意見変化を促すためには,多くの参加者が発言できる環境を作ることが有効である。
  • -近畿圏の道の駅へのアンケート調査の結果から
    小塚 みすず
    p. 83-88
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    道の駅は登録開始から四半世紀を経過した。地域活性化のための施設として期待される駅がある一方で,運営困難で廃駅となった道の駅もある。本研究は,近畿圏内の道の駅を対象に,アンケート調査を行い,運営課題の整理・分析を行った。その結果,(1)施設の老朽化や維持・管理が主要課題であること,(2)利用者の減少や活性化が課題の駅は,登録から長期間経過し,かつ,人口が少ない地域にあること,(3)道の駅の運営のPDCAサイクルは十分循環しておらず,今後の課題であることが明らかとなった。一方で,(4)道の駅の設置が地域外との交流の活発化につながることに期待が寄せられ,多くの駅で呼び水として様々なイベントが催されていることなどが分かった。
  • 森山 雅大, 浦山 益郎
    p. 89-94
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    土地所有者と地方公共団体等の契約による民有緑地を公開する制度として市民緑地と公開緑地があるが,制度運用の特徴は必ずしも明らかではない。本稿は,制度運用と契約された緑地の実態,市町村の今後の方針から,両制度の活用の特徴と緑地保全の課題を考察した。その結果,市民緑地は法令に沿って制度運用されるが,公開緑地には行政方針に対応した柔軟な運用が見られた。今後の市町村の方針は,市民緑地については申請があれば対応する姿勢が主流なので,契約する土地提供者の掘り起こしが課題となる。また,公開緑地には市民緑地の対象外となる緑地への活用が期待されるが,制度の柔軟さから生ずる契約解除のリスクの回避が課題となる。
  • 眞鍋 邦大, 中塚 雅也
    p. 95-100
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    都市化に伴って顕在化した食と農の乖離の問題を解消すべく登場した産直ビジネスは,消費の質の変化に対応してその形態を変化させて来たが,近年では,情報や体験の共有を通じて生産者と消費者が交流する場所や機会を提供するプラットフォーム型の産直ビジネスが登場し,消費者の評価を得ている。本稿では,業態の異なる二つの先進的な事例をプラットフォームの視点から比較分析することで,設計上の3つの要点を明らかにした。具体的には,多様なコミュニケーション・パターン,インセンティブに基づく適切な役割分担,信頼醸成による魅力的な場の形成と柔軟な内部変化のマネジメントである。
  • -JCMを題材に
    市原 純, 森實 順子
    p. 101-106
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    本稿は,インドネシアの気候変動緩和対策プロジェクトの現状を踏まえつつ,案件形成・実施上の課題を明らかにした。このために,インドネシアでのJCM(二国間クレジット制度)を題材に,プロジェクトの形成・実施における制度上の阻害要因について,聞き取り調査を行った。その結果,インドネシアのパラレルコストや固定価格買取制度などの国内関連制度・規制面およびその運用面ならびに気候政策上でカーボンマーケットの活用方針が不明確である点などの課題が確認された。
  • 高橋 正弘
    p. 107-112
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    2015 年10 月にコウノトリの再導入を行った福井県越前市において,市民を対象にアンケート調査を2回実施した。アンケート票の自由回答欄に書かれたテキストには市民の生の声が現出していることを前提とし,それらを切片化した上で分類する作業を行った。その結果,賛否に関する記述は「賛成・支持」「反対・不支持」「無関心」という3つのカテゴリーに,また課題をめぐっては,「課題の指摘」「課題の認識」「課題の知識」「課題への態度」という4つのカテゴリーに,それぞれ類型化することができた。この方法によって,量的データでは把握することができない市民の再導入をめぐるさまざまな考えの分布が,量的分析との比較で差異があることが明らかになった。
  • 横田 樹広, 山崎 慶太
    p. 113-118
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    港北ニュータウン茅ヶ崎自然生態園を対象として,指定管理団体によるニホンアカガエルの移入の履歴,移入個体群の定着状況と湿地・樹林環境との関係を把握した。2010 年より卵塊移転が行われていたが,成体の確認はカエル池から水田に集中し,2016 年は斜面垂直方向,2017 年は水路水平方向と変化した。その要因として,2017年の夏季降水量減少に対して,草本被度が適度で土壌水分と放射環境の安定した水路沿いに留まったと考えられた。限られた緑地空間での移入個体群の管理にあたっては,草本の被圧や乾燥化といった植生環境のほか,高木の間伐等による放射環境の視点からの生態系管理とゾーニングが重要と考えられた。
  • 三坂 育正, 成田 健一
    p. 119-124
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    屋外空間を利用する際に適した温熱環境条件を抽出する手法を確立することを目的として,温熱環境と人の生理・心理指標,作業効率に関する実験を行った。暑熱環境対策により、温熱快適性の向上や人体生理・心理反応への効果を検証することができたが、作業効率の向上については確認できなかった。また、作業時は着座時に比べて作業に集中することが想定され,温熱環境や人体生理に変化が生じた状態でも感度が低下する傾向が推測された。実験結果より,屋外空間で推奨される温熱環境は,空間の利用目的によって異なる可能性があることが推察された。
  • ソ ユファン, 本條 毅
    p. 125-130
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    天空率は,都市構造を表す指標の一つである。天空率測定を,魚眼レンズカメラ,全天球カメラ,Google Street View,DSM などの手法を用いて行い結果を比較した。その結果,従来使用されてきた魚眼レンズカメラに加え,これらの方法で全て実用的に天空率を求められることが分かった。Google Street View やDSM を使用する場合には,撮影した時期の建物や土地利用などが,変化していないかの確認が必要であった。樹林内や街路樹のある道路での天空率測定の場合,二値化後の枝や葉の大小が誤差の原因であり,二値化の閾値の選定に注意が必要であることが分かった。
  • 古川 豊, 渡邉 一哉
    p. 131-136
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    農業用水路である文下堰では,イシガイ類が多数生息している。100 個体を用いた観察・実験の結果,次のような知見が得られた。1)水路内での性成熟期間は約3 年。2)性成熟までに流下する距離は120m。3)宿主であるドジョウへの寄生には10 秒以上の時間が必要であり,流速に換算すると0.012m/s以下となった。4)宿主への寄生のためにはグロキディウム幼生は10,000個/日以上の放出が必要で,その期間は15日程度であった。5)宿主の運搬距離は275m以上と算出された。成貝の生息地点よりも下流に寄生環境が存在する必要があるといった配置条件も示された。
  • 坂部 創一, 山崎 秀夫
    p. 137-142
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    テクノ・ネット依存症傾向が高い学生ほど,新型うつ傾向とQOL(Quality of Life:生活の質)が悪化する傾向を示し,共感的ネット利用とレジリエンスや共同運動愛好度(複数人での運動を好む程度)が高い学生ほど,新型うつ傾向が抑制されQOL が高い傾向を示すとの仮説を設定した。情報系大学生を対象に縦断調査を行い,共分散構造分析で分析した結果,仮説は検証された。このことから,情報化社会における新型うつ傾向の予防策として,テクノ・ネット依存症傾向の回避や共同運動愛好の促進とレジリエンス向上の重要性が示唆された。
  • -フィリピン・カランバ市の小学校を事例として
    松本 万里子, 西前 出, 島田 幸司
    p. 143-148
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,スクールエコセンター設置を伴う環境教育プログラム実施校における生徒の固形廃棄物分別に対する意識・行動について分析した。小学校6 年生へのアンケート調査の結果,女子のプログラムの認知と固形廃棄物分別に対する意識は男子に比して高いことが示された。また,生徒の固形廃棄物分別に対する意識・行動は学校内部に関する要因に影響されていること,および,スクールエコセンターの管理は,生徒と保護者を巻き込んだ包括的な取り組みを小学校が実施することにより,生徒の固形廃棄物分別に対する意識・行動にプラスに寄与することが示唆された。
  • -探究的な学習活動としての有効性に着目して
    髙木 祥太, 伊藤 雅一, 岡村 聖
    p. 149-154
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    本研究の目的は,高等学校における探究的な学習活動に焦点をあて,生活環境圏のCO2 濃度データを利用した環境教育プログラムの開発を行い,その有効性を明らかにすることである。このため,生活環境圏におけるCO2 濃度の基本的動態や学校周辺におけるCO2 濃度の測定方法等を記した学習指導計画を作成した。これを基に,日本・台湾5 校の高等学校を対象に環境教育を実施し,その教育効果をアンケート調査から検証した。その結果,多くの生徒が学習内容に関心を示すなど,探究的な学習を継続して行いたいという学習ニーズを明らかにすることができた。
  • 山本 清龍
    p. 155-160
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,富士登山者を事例として取り上げ,①混雑予想カレンダーの利用の実態を把握すること,②混雑予想カレンダーの閲覧者に特有にみられる行動から混雑回避の行動を推測し,混雑予想情報の有効性や課題について検討すること,の2点を目的とした。その結果,カレンダーの閲覧者では平常日と位置づけられる8 月11 日を登山日に選択した割合が多かった。また,御来光前の時間帯に頂上に辿り着いた割合が多く,これらの行動は混雑回避行動と考えられた。しかし,混雑予想カレンダーの閲覧と登山行動の選択の関係性は弱く,カレンダーの閲覧者の割合の低さなどその効果は限定的であり,情報発信の強化が必要と考えられた。
  • 佐々木 薫子, 山本 清龍, 山本 信次
    p. 161-166
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,東日本大震災から6 年が経過し,復興過程にある被災地石巻市を取り上げ,来訪者の意識,行動の把握から,①ダークツーリズムの実態,特徴を明らかにすること,②ダークツーリズムの課題と可能性を論じ考察すること,の2点を目的とした。その結果,石巻市はダークツーリズムの対象地として機能し,震災は後世に伝承し,世界で共有する価値があると捉えられていた。また,被災地における臨場感は来訪者の災害に対する意識変化を促し,震災遺構や語り部ガイドは災害伝承方法として効果的と考えられていた。しかし,語り部ガイドの認知度は低く,復興を含む被災地の変化を想定した災害伝承方法論の検討が求められていた。
  • 小林 昭裕, ジョーンズ トマス
    p. 167-172
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    遭難発生は,一連の要因が連鎖することによって起きるとされる。本研究では要因の連関を把握する始動的試みとして,ヒヤリハット体験の主因と背景・間接要因に着目し,要因の関係性,およびヒヤリ体験時の状況や回答者属性による要因の違いなど,要因の特性を検討した。その結果,主要因および背景・間接要因に対する出現頻度の違いや,主要因と間接要因との関係性に一定のパターンが確認された。また,パターンの特性をもとに,要因の連鎖という観点で議論を進める可能性が示された。さらに,主要因に対する回答者の個人属性の違いや,遭難発生時の状況との関連性に相違が認められ,結果の解釈や今後の調査方法上の留意点が確認された。
  • 長原 すみれ, 柳井 重人
    p. 173-178
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,首都圏近郊に位置する千葉県松戸市で実施されている民有樹林地の公開イベントを研究対象とし,来訪者の認識をアンケートによって把握した。その結果,以下の点が明らかになった。1)30~40 歳代は,子どもをともなって公開イベントに来訪しており,他の世代と比較して,来訪に要する移動時間が短い傾向がある。2)30~40 歳代は,公開された樹林地やイベントに対し,子どもの遊びや体験の充実が見込めるプログラムを強く望んでいる。3)30~40歳代は,未実施のプログラムのうち植物・昆虫採集への関心が高くなった。4)30~40 歳代の約半数は,プログラムにおける保全活動への参加や参加費の支出について肯定的である。
  • 和田 有朗, 品川 崇
    p. 179-184
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    食品ロスに関する個人の内的要因と食材を捨てない行動との関連を調査した。また,食品ロス対策の評価シートを用いて,消費者の意識に変化が生じるのかを調査した。その結果,食材を捨てない行動と無駄にしない調理技術の間には,やや強い関連が認められた。評価シート実施後に変化した意識項目の結果からは,まずは家庭でできる食品ロス削減案の提案と一人一人が容易に取り組めそうな行動から行っていくことが必要だと考えられる。
  • 安喰 基剛, 錦澤 滋雄, 村山 武彦
    p. 185-190
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    日本において,風力発電事業に伴う環境紛争の解決要因についての知見は,いまだ十分ではない。本研究では,計画段階において環境紛争が発生した風力発電事業を対象に,アンケート調査を行い,環境紛争発生およびそれに対する事業者の対応状況を把握した上で,環境紛争の解決要因を分析・考察した。その結果,事業計画の物的な計画変更の有無が環境紛争の解決に影響を及ぼす有力な要因であることが分かった。また,環境紛争が解決した事業では,追加調査の実施・地域便益の供与・運転開始後の問題発生時の運転停止約束などのソフト面の対応も行われていた。さらに,災害が紛争論点となる場合には,解決が困難になる傾向が示された。
  • -大学生アンケート調査をもとに
    木原 浩貴, 松原 斎樹
    p. 191-196
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    気候変動対策や脱炭素社会の捉え方を明らかにするため,大学生を対象とするアンケート調査を行い,661 件の回答を分析した。その結果,1)ほとんどの回答者が,気候変動対策として日常的にできるこまめな省エネをイメージしており,対策は不便さや我慢を伴うと捉えていること,2)対策が生活の質を高めると捉える人は地球環境や空気への好影響を連想し,脅かすと捉える人は生活への悪影響を連想する傾向にあること,3)政策の支持度や省エネ行動の実践度には,気候変動関連の情報の理解度だけではなく,脱炭素社会づくりの影響の受け止め方のポジティブさが関係していることなどが明らかとなった。
  • 川口 将武, 赤澤 宏樹, 武田 重昭, 加我 宏之
    p. 197-202
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,沿道住民の地域や街路樹に対する意識を把握し,そこから街路樹の維持管理への参加意欲に影響する要因の構造を,沿道住民へのアンケート調査結果を用いた共分散構造分析によって探った。その結果,『地域の価値認識』の意識が高まると『街路樹の価値認識』に対する意識も同時に高まり,互いに影響を及ぼし合いながら正の強い影響を与え合うことがわかった。『街路樹の維持管理への参加意欲』は,『街路樹の価値認識』に強く影響を受け,『街路樹の価値認識』は,『街路樹の課題認識』に及ぼす影響が弱く,『街路樹の管理状態に対する評価意識』,『街路樹の果たす役割に対する認識』に強く影響を及ぼす構造であることがわかった。
  • -北海道苫小牧市における質問紙調査より
    長岡 篤, 村山 武彦
    p. 203-208
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    CCS の実証試験が行われている北海道苫小牧市の地域住民を対象とした質問紙調査から,CCS 実証試験の認知状況と,CCS について必要な情報や望ましい事業主体を把握し,回答者の分類と自由回答によるテキストマイニング分析から,地域住民のCCS に対する認識を明らかにすることを目的とした。その結果,多様な手段によりCCS を認知しているほど関心が深まっており,事業主体に公共が関与することを望む傾向がみられた。また,CCS をよく認識しているほどCCS が地球温暖化対策に貢献できると考える傾向がある一方で,エネルギー問題への関心が高いもののCCS への関心が低い地域住民が一定程度いることが示された。
  • 中村 洋, 小林 敏昭
    p. 209-214
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    南信州独自の環境マネジメントシステムを事例として,社会イノベーションが受容された要因,及び協働ガバナンスの理論枠組みを用いて,社会イノベーションの創出・普及プロセスを分析した。その結果,地域貢献の思いを持つ経営者や企業が,行政と協働することにより,社会的受容性の高い社会イノベーションの創出・普及が行われたことが分かった。ただし協働ガバナンスによるイノベーションの創出には,傑出した人材が必要で時間・資源・費用も多くかかるため,今後の継続性には不透明な部分もある。
  • 藤野 友和
    p. 215-220
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,環境保護に対する意識とLED 照明の購買行動との関連性について,株式会社マクロミルが提供している消費者購買履歴データと,そのモニタに対する意識調査データを用いて明らかにした。意識調査データについては,環境に関する調査項目の回答についての因子分析結果を用いた。LED 照明の購買データについては,全体の購買データから電球のカテゴリを抽出し,LED を商品名に含むものとそれ以外のものに分類した。これらのデータに対する統計モデリングの結果から,環境保護に対する意識とLED 照明の購買行動の関連性が示唆された。
  • -持続可能な消費に向けて
    文 多美, 中谷 隼 , 平尾 雅彦
    p. 221-226
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,1 年以内に家電製品の購入を予定している消費者を対象に,中古製品に対する消費者の購入意向と購入条件についてアンケート調査を実施した。その結果,最初に中古製品を検討しないと回答した人の約86.3%が,中古製品の製品条件を提示することで中古製品に対する受け取り方が変わり,購入を検討もしくは条件付きでの購入を検討すると回答した。そのとき,中古製品購入の最も重要な受容条件として「製品状態」があげられ,「使用期間」「価格」が続いた。中古製品の購入を「検討する」と回答した人は,家電製品の選択において,自分の個性より,製品の実用性を重視する傾向が示された。
  • 氏家 萌美, 武 正憲, 原 光宏, 和田 茂樹
    p. 227-232
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    東京都新島村式根島には,自然界におけるCO2 の噴き出し(CO2 シープ)が存在し,海洋酸性化による影響に関する研究が行われている。本研究では,その海域を利用するダイビング事業者と漁業従事者へのヒアリング,ダイビングツアーで撮影された写真を通して,海域を頻繁に利用する者がどのような認識を示しているかを明らかにした。CO2 シープによって漁業従事者は悪影響を認識し,避ける場合がある一方で,ダイビング事業者は好影響を認識し,積極的に利用しようとする認識が示された。また,海底から噴き出る泡とその周辺で観察できるウミガメというCO2 シープに起因すると考えられる景観構成要素が観光資源として価値を有することが示唆された。
  • 温井 達也, 王尾 和寿, 渡 和由, 藤井 さやか, 花里 俊廣
    p. 233-238
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では対象地域の67 区会を,社会・経済・土地利用等の統計データから,都市型区会および農村型区会に分類し,その運営・活動内容の規範となる規約と地域特性との関係を把握した。その結果,同一自治体でも異なる地域特性に応じて,区会の運営・活動内容等には大きな違いがあり,多様な役員構成,管理対象物を有する農村型区会に対して,都市型区会は広報・連絡など限定的な活動に留まる傾向がみられた。
  • -猿尾(水制)の築造に注目して
    馬場 慎一, 伊藤 政博
    p. 239-244
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    木曽川上流部における築堤は,1601 年から 1609 年にかけて行われたが,その後も多発する洪水により破堤し,猿尾が特定な期間と箇所に多数設置された。本研究は,歴史的資料に基づいて猿尾の設置に注目し,洪水と破堤の発生頻度,および猿尾の設置との関わりについて検討した。その結果,洪水と破堤は特定の期間に数多く発生し,猿尾の設置個所は破堤とも関係していることが明らかになった。
  • 新田 将之, 中島 正裕, 岩本 淳
    p. 245-250
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    1988 年以降,住民参画型の水環境整備により農業水利施設が有する多面的機能の維持・増進が図られてきた。本研究では,こうした整備実施により多面的機能が増進された農業用水系を農業水利環境ストックとし,同ストックを27 年間にわたり保有してきた滋賀県甲良町を対象に,維持管理の継続要因と課題を組織面から分析した。その結果,区が担う全世帯出動型の活動によりストック全体の清掃が網羅され,さらに2 つの住民組織が点検,補修および記録・広報を担うことで,ストック全体の維持管理が補完されていた。また,集落行事の準備が住民組織間の活動調整の機会として機能していた。今後の維持管理の継続に向けては,組織内の世代交代が課題である。
  • 片野 洋平
    p. 251-256
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,森林の適正な管理政策を導くことを目的に,過疎地域の一つである鳥取県智頭町における不在村者の山林を中心とした財の所有動態を先行研究と比較する試みを行った。人工林管理認知と関連するいくつかの変数に着目し記述統計分析を行った結果,先行する研究との相違点や類似点が明らかになった。本研究により,不在村者の森林管理問題を考察する場合には,他の財の状況にも着目して分析することの重要性や地域により財に対する認識が異なる可能性を考慮することにより,不在村者の森林管理のよりよい理解が可能となることが示唆される。
  • ―岡山県と大分県を事例に
    本田 恭子, 渋谷 直樹
    p. 257-262
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,障害者自立支援法にもとづく就労継続支援A 型とB 型で事業所運営と障害者の働き方がどのように異なるかを明らかにした。岡山県と大分県の事例調査を通して,A 型,B 型にかかわらず,福祉分野の要因(障害の種類と障害者の高齢化)と農業分野の要因(作業場所,栽培方法)にもとづいて障害者への配慮が行われていること,およびA 型事業所では,障害者が「労働者」とみなされ,一定程度の作業能力・対人関係能力のある障害者に限定され,職員の負担は軽い 一方,B 型事業所では障害者が「支援対象者」とみなされ,幅広い障害者が利用できるものの,職員の農業従事負担が重いことが明らかとなった。
  • 渡邊 慎一
    p. 263-268
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,オーニングの暑熱緩和および紫外線遮蔽効果を明らかにすることを目的として,実空間のオーニング下およびオーニングを閉じた状態で熱および紫外線環境を実測した。実測は 2017 年8 月に埼玉県上尾市の幼稚園で実施した。実測データを用いて,温熱指標UTCI,暑さ指数WBGT,およびUV Index を算出し比較した。その結果,日射量1,000 W/m2 の晴天において,オーニングを展開することでUTCI が4.9 ℃ 低下することを示した。また,WBGTが3.3 ℃低下し,熱中症の危険度カテゴリが1 段階低下することを明らかにした。さらに,オーニング下は,紫外線に対して防御が必要ない環境となることを示した。
  • 古賀 和子, 岩崎 寛
    p. 269-274
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    近年「自然との心理的つながり」の希薄化が問題視されている。本研究では緑の利用形態とその感情体験について,総論的に把握することを目的に457 名の男女に質問紙調査を行なった。384 件の感情体験に関する自由記述回答文を対象にテキストマイニングにより頻出語の抽出と共起ネットワークの作成を行った。最頻出の語は「花」,次は「見る」であった。共起ネットワークから「花」を「見る」遠隔的なかかわりにとどまらず,「育てる」,「飾る」などの能動的なかかわりから癒しを感じる体験も抽出された。さらに男女別と年代別の解析から,かかわり方,楽しみ方の違いを把握することができた。
  • 岩見 麻子, 木村 道徳, 松井 孝典, 馬場 健司
    p. 275-280
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では気候変動適応策に関連する部局に所属する自治体行政職員と地方環境研究所の研究者,気候モデルや影響評価を専門とする研究者が参加したコデザインワークショップ(WS)において議論されたテーマを把握し,テーマ間およびテーマと各分野の間の関係性を可視化することによって,適応策に関連する部局が持つ認識や課題の把握を試みた。その結果,WS において議論されたテーマとして「数値目標の設定」や「降水量の将来予測」など12 を特定することができた。また,たとえば環境部局のグループでは計画の進捗管理や評価について,農業のグループでは影響評価結果を農業者へ提供する際の課題など,分野による認識や課題を明らかにすることができた。
  • 新井 颯太, 雨宮 隆, 野間 毅, 日當 和孝
    p. 281-286
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    地域内規模のバイオマスエネルギーシステムとして,未利用バーク材などの湿潤木質バイオマスを燃料に用い熱と蒸気を椎茸栽培ハウス群に供給する日量20t 規模のバイオマス熱供給システムを対象として,熱物質平衡モデルを作成し,熱力学的視点からシミュレーションによる予測性能の評価を実施した。熱供給と並行して余剰熱で乾燥チップ燃料を生産する点に特徴を有する本システムに対して,「木質エネルギー利用率」および,「システムエクセルギー効率」といった指標を用いて評価を行った。ボイラ高温排ガスを使い,含水率が60%と高い湿潤バイオマスを乾燥させ,これをボイラ燃料として温水熱供給をする運転では,エネルギー効率が最大68%と非常に高い予測結果を得た。
  • 今西 亜友美, 林 圭一
    p. 287-290
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    歩行者にとって好ましい街路樹景観を明らかにするため,イチョウ,ケヤキ,クスノキを対象として,樹種ごとに街路樹の枝張り(B)と歩道幅員(W)の比率(B/W)を0.2~1.0 の5 段階に変化させた擬似画像を被験者に提示し,SD 法による質問紙調査を行った。因子分析の結果,「心地よさ」と「開放感」の2 因子が抽出された。各画像の総合評価得点と各因子得点との偏相関分析の結果,「心地よさ」が総合評価得点に大きな影響を与えていることが分かった。また総合評価得点から,イチョウはB/W = 0.6 以上,ケヤキは0.6~0.8,クスノキは0.4~0.6 が望ましいと考えられた。
  • -ステークホルダーの反応と能力構築のニーズに関する考察
    小林 正典
    p. 291-296
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/07
    会議録・要旨集 フリー
    マーシャル諸島共和国は太平洋に位置する小島嶼開発途上国で, 海洋資源の保全と持続可能な利用推進をその重要な政策目標でして掲げ、2015 年9 月に保護区ネットワーク法(PAN 法)を立法化した。2017 年2 月時点で63 カ所の海洋保護区が設立されているが, その多くは管理計画や資源管理協議会を有していない。アンケート調査やインタビューから、ステークホルダーはPAN 法の実施の支援に前向きであるが、禁漁や漁業規制といった仮説には複合的反応を示した。PAN 法の効果的実施を進めていくためには、資金や技術的助言を提供するなどして、ステークホルダーのPAN 法実施への参加や協働を支援することが必要と思われる。
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