抄録
港北ニュータウン茅ヶ崎自然生態園を対象として,指定管理団体によるニホンアカガエルの移入の履歴,移入個体群の定着状況と湿地・樹林環境との関係を把握した。2010 年より卵塊移転が行われていたが,成体の確認はカエル池から水田に集中し,2016 年は斜面垂直方向,2017 年は水路水平方向と変化した。その要因として,2017年の夏季降水量減少に対して,草本被度が適度で土壌水分と放射環境の安定した水路沿いに留まったと考えられた。限られた緑地空間での移入個体群の管理にあたっては,草本の被圧や乾燥化といった植生環境のほか,高木の間伐等による放射環境の視点からの生態系管理とゾーニングが重要と考えられた。