抄録
中国四都市(北京,上海,天津,重慶)の2004~2014 年のエネルギー起源のCO2 排出量の変動要因を,東京を対照として茅方程式を用いて分析し,低炭素化と大気汚染政策を統合的に考察した。結論として:(1) CO2 排出量の押し上げ要因は主に経済要因で,押し下げ要因は2004 年以降の炭素集約度の低下に加え,2010 年以降に急速に進んだエネルギー強度の低下である。(2)政策との関係からみると,2010 年以前は大気汚染対策(特にSOx 対策)のコベネフィットとして低炭素化が進み,四都市とも2013 年までにCO2/GDP の2020年目標レベルに到達した。さらに, 2010 年以降の低炭素化政策の本格化で,CO2 排出総量が抑制され,北京では減少傾向に転じた。