抄録
SDGs 実施の際には,ひとつのSDG ターゲットを実施した結果,その他のターゲットの達成に相乗効果をもたらすのか,または達成を阻害するような負の影響の発生を回避できるかという点を考慮しながら,対策に一貫性をもたせる統合的アプローチの視点が必要である。SDG ターゲット12.6 では定期報告書に持続可能な開発に関する事項を報告することを企業に求めているため,本研究では,世界の企業を対象としたFortune Global 500の上位100 企業のサステイナビリティ報告書を対象として,統合的アプローチの視点をもったSDGs の記載をしているかを分析した。 分析の結果,企業は17 のSDGs 目標を独立的に捉える傾向があり,統合的に実施する視点は持ち合わせていないことがわかった。また,SDGs の記載をしている約7 割の企業は現状の活動を整理するマッピング作業を行っているが,マッピングを行うこと自体が目的となってしまい,SDGs の達成に向けた新たな行動が促されていない課題があることもわかった。