抄録
東京都新島村式根島には,自然界におけるCO2 の噴き出し(CO2 シープ)が存在し,海洋酸性化による影響に関する研究が行われている。本研究では,その海域を利用するダイビング事業者と漁業従事者へのヒアリング,ダイビングツアーで撮影された写真を通して,海域を頻繁に利用する者がどのような認識を示しているかを明らかにした。CO2 シープによって漁業従事者は悪影響を認識し,避ける場合がある一方で,ダイビング事業者は好影響を認識し,積極的に利用しようとする認識が示された。また,海底から噴き出る泡とその周辺で観察できるウミガメというCO2 シープに起因すると考えられる景観構成要素が観光資源として価値を有することが示唆された。