抄録
院内感染症の原因である薬剤耐性菌は,近年,世界中で表層水からも分離されており注目が集まっている。環境菌が薬剤耐性遺伝子のリザーバーとしての役割を果たしているのではないかと危惧されている。一方,東京では表層水中の環境菌を対象とした薬剤耐性菌の調査がほとんどなく,参考となるデータが必要と思われた。本研究では,環境菌を対象に都市河川・湖沼計20 か所で薬剤耐性菌の有無を調査した(2016~2017 年)。全ての調査地点で薬剤耐性菌が検出され,分離株86 株のうち64%がampicillin with sulbactam (SAM20)に,54%がclarithromycin (CLR15)に耐性を示した。