抄録
本研究では,小規模集落化した旧鉱山まちである兵庫県養父市大屋町明延区を対象に,景観の継承課題を明らかとした。まず,まちの最盛期における建物配置と景観形成要素の残存状況により,歴史ある村の街並みや,川沿いにはり付く住宅群,鉱山社宅群などが継承された景観として重要であることが示された。次に景観資源に対するアンケートの結果,居住者と地域外の主体では,鉱山施設や街並みを残したい重要度の認識に差が生じたことが示された。さらに,空き家の分布調査より街並みや社宅群が危機的な状況といえ,地区ごとの特性に応じた活用方策が考察された。