山岳遭難要因に対処する登山者,管理者,ガイド・山小屋が担うべき責任・役割について,登山者による評価を,アンケート調査により把握した。本調査では,山岳遭難要因として,高山病,登山道の危険個所,道案内,火山噴火,悪天候,安全登山に関する情報提供,ヒヤリハットの情報交換を対象とした。その結果,遭難要因のタイプによって,登山者からみた自身,管理者,ガイド・山小屋の責任や役割の程度 (主たる・補助的・なし)が異なると同時に,同じ遭難要因でも主体間で責任や役割の程度が異なることが判明した。各主体の責任・役割が遭難要因によって異なる傾向を示したことから,要因特性に対応した主体間の協働的体制の検討を進める必要がある。