瀬戸内海と太平洋をつなぐ鳴門海峡は,渦潮が発生することで知られる国指定名勝(徳島県側)である。本研究は,渦潮を観潮するための視点場の特徴とその見え方について明らかとした。 観潮の可能性を有する海峡を取り巻く32 地点を対象に視点場の調査を行った結果,16 地点で渦潮が可視となったが,観潮に適した視点場は5 地点のみであった。さらにこの5 地点を対象として,春季大潮時における渦潮の定点観測と景観写真の分析を行った結果,橋上の2 地点は,渦潮の形態や動的変化を観潮するのに適した視点場であり,名勝指定地域の3 地点は,海峡景に渦潮が表情を与える多様な景観を鑑賞する視点場であることが示された。