既往研究で登山者のリスクに対する認識や対応が遭難を左右すると指摘された。本研究では,登山者のリスクに対する注意度,事前情報取得,リスクの気づき(気づきにくさを含めて),リスクの予見回避に着眼した。分析を通じ,注意度を中心として,個人属性の違いや相互の関係性を把握し,事例対象山域の遭難対策を改善する手がかりを探索した。その結果,注意度と個人属性との関連性が認められたほか,注意度が高い場合,事前情報の獲得が促され,事前情報や注意度の違いが,リスク対象の察知や認知に影響することが示唆された。さらに,注意度の違いによって,予見回避性に相違が認められたので,回避行動との関連を検討する必要がある。