本研究では,研究成果が乏しいと指摘されている「環境問題に関心を持つに至った契機(きっかけ)」に着目し,現在の環境観・環境配慮行動との関係性について,居住環境や自然体験,価値観などを考慮して検証した。大学生を対象とした質問紙調査データを用いた共分散構造分析の結果,自然体験や自然・環境の喪失実感をきっかけに環境問題に意識し始めると環境問題に対してより関心を持ち,間接的に環境配慮行動を促進する可能性が示唆された。また,きっかけの時期の居住環境において自然が豊かであることが,現在の環境観に関係していることが明らかとなった。これらより,自然との触れ合いが環境問題に関心を抱くきっかけとして重要であることが示された。