主催: 一般社団法人環境情報科学センター
会議名: 2023年度 環境情報科学研究発表大会
回次: 37
開催地: 日本大学会館
開催日: 2023/12/18
p. 154-159
京都盆地の集落に残存する白川石(黒雲母花崗岩)の石積み壁に生育するギフベニシダ(複数地域で絶滅危惧指定されるシダ植物)の生育地特性を調査した。同地区の白川石以外の石積み壁を対照区として比較調査した。その結果,本種は明らかに白川石の石積み壁に偏って記録された。 本種の生育地は,相対的に土壌含水率が低く,天空率は中間的であったが,それらの範囲は狭かった。モルタルで目地がされるなど,修復された調査区では生育確率が低かった。日本の伝統的な石積み壁は稀少シダ植物の保全に寄与できる。本種の保全のためには花崗岩等による石積みを残す必要があり,補修の際に,本種が生育できる余地を残す工夫が必要である。