抄録
ゾーニングにおける促進区域は再エネ導入を進めるエリアであるが,促進区域の基準を設定する都道府県の中には厳格な基準を設けているところもある。促進区域が十分に設定できない場合,炭素中立社会の実現が困難となる可能性がある。本稿では,環境紛争が多く県基準が厳格と考えられる長野県を事例とし,県内市町村が現行の県基準下で使用電力を全て再エネ(本研究では太陽光発電に限定した)で賄う「再エネ100%」が可能か地理情報システム(GIS)を用いて検討した。その結果,8割以上の自治体で達成可能であり,達成困難な自治体で県基準緩和等のシナリオを設定した結果,防災や森林に関する基準の緩和や,屋根置き太陽光の設置を増やすことで再エネ100%を達成できることがわかった。