抄録
本研究は佐渡市民を対象とした2024年のアンケート調査に基づき,本州での放鳥に対する意識とトキの「地域のシンボル」としての捉え方の現状と展望を考察した。結果,佐渡市内での生息および事業実施の継続を前提に本州での展開を肯定的に捉えており,トキを「佐渡市のシンボル」とする認識は確立していた。背景には佐渡での安定した生息状況への評価が考えられる。2026年度に石川県内で実施が予定されている本州での放鳥は,佐渡市におけるトキの「地域のシンボル」としての独自性への懸念もはらんでいるが,野生復帰事業の先進地としての新たな価値観や広域連携の機会ともなり得る。今後の継続調査が重要である。