昭和初期に広島市に建設され、原爆投下時にも供用されていたRC建築物のコンクリートの化学的性質を評価した。コア端部に見られる明らかに変色した部分では、著しく炭酸化が進んでいた。非変色部を加熱すると、コアと同様の変色と脆弱化が確認された。変色部は、2階・爆心地側のコンクリートの方が、地中の基礎部のコンクリートより大きかった。非変色部の分析評価により、コンクリートの初期の性状に、建物の部位による差があったことが推察された。施工当初の性状と供用中の暴露環境により、変質の程度に差異が生じたものと推察した。