2009 年 63 巻 1 号 p. 62-69
間隙質液相量を低減することで期待されることは、水和熱の低減、流動性の改善、化学抵抗性の向上等がある。また、セメントの汎用性を考えた場合、強度設計も重視しなければならない。本研究では、間隙質液相量のさらなる低減(4%以下)とC3S量の増大を検討し(50%以上)、実際に実機キルン製造したクリンカーとセメントを評価した。また、間隙質液相量を低減したクリンカーが実機キルンで安定焼成できる理由について理論熱量の観点から考察した。その結果、間隙質液相量を低減しても(6%以下)C3Sは最大約70%まで増大可能と試算され、実際に製造したセメントは汎用セメントと比較し、一部で優れた物性を示すことが確認された。