2010 年 64 巻 1 号 p. 211-218
セメント硬化体組織に対して実際に取得される反射電子像では、グレーレベルヒストグラムに現れる濃淡情報が、本来対応すべき平均原子番号位置と必ずしも線形的に対応しない。この点に着目して、そのグレーレベル位置のずれ(シフト量)を、画素寸法以下の空隙の存在によるものと考えた。特定の構成相のシフト量から画素寸法以下の微細な毛細管の空隙率を求め、これとPowers&Brownyardのモデルを組み合わせることにより、硬化セメントペーストの水セメント比が非常に高い精度で推定できることが明らかとなった。