コンクリートの材料分離現象であるブリーディングは、硬化後のコンクリートの物性に影響を与えるが、その微細構造に関して定量的な解明は進んでいない。本研究ではブリーディングが発生した硬化セメントペースト(HCP)の空隙構造について、電子顕微鏡と低温DSCを用いて定量的に評価し、空隙構造の特性を電気伝導度から検討した。その結果、ブリーディングによって打設方向上部にかけて増加する空隙は毛細管空隙であり、それ以下の径の空隙形成にはほとんど影響を及ぼさないことが明らかとなった。また、HCP中の空隙量と電気伝導性にはブリーディングや水セメント比及び材齢に依らず相関が見られ、空隙の連続性は空隙量のみに依存することが示された。