セメント・コンクリート論文集
Online ISSN : 2187-3313
Print ISSN : 0916-3182
ISSN-L : 0916-3182
セメント硬化体・モルタルの物性
サーモポロメトリーを用いたセメント硬化体の細孔構造解析
栗山 広毅黒澤 利仁後藤 卓名和 豊春
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 66 巻 1 号 p. 119-126

詳細
抄録

本論文では、細孔内水分の凍結過程と融解過程での挙動の相違から、セメント硬化体中のインクボトル細孔の構造を定量する方法を提案した。まず、セメント硬化体を40℃で28日間養生後に、70%、85%、98%の各相対湿度条件で静置することで、細孔空隙中の水分の存在比率を変化させた。次に各試料の細孔内水分の凍結・融解時の熱量を低温DSCを用いて測定し、サーモポロメトリーによって試料の空隙量と細孔径分布を算出、比較を行なった。その結果、入口細孔径が1.8nm、2.6nm、5.2nmのインクボトル細孔がセメント硬化体中に存在することを定量的に明らかにした。さらに、細孔の連結性やフラクタル構造について考察し、従来提案されてきたC-S-Hのコロイドモデルの妥当性を実証した。

著者関連情報
© 一般社団法人セメント協会
前の記事 次の記事
feedback
Top