2012 年 66 巻 1 号 p. 127-134
セメント硬化体の空隙構造を正確に測定することは物質移動特性を把握する上で非常に重要である。物質移動特性を把握するためにACインピーダンス法が簡便な手法として提案されており、普通ポルトランドセメントを用いた場合にはその有用性が報告されている。しかし、非常に高い塩分浸透抵抗性を有す高炉スラグを混和したセメント硬化体にもその手法が適用可能かどうかは明らかにされていない。そこで本研究では高炉スラグセメントペーストの電気伝導率により塩分浸透性と微細構造について検討を行った。電気伝導率を測定するためにACインピーダンス法を用い、空隙構造を測定するために反射電子像及び水銀圧入法を用いた。高炉スラグ混和率にかかわらず塩分浸透深さと電気伝導率には非常に高い相関がみられ、空隙量と電気伝導率の間にはArchieの法則によって表されるべき乗の関係がみられた。