2012 年 66 巻 1 号 p. 491-498
粒度分布を制御し、10μm以下の微粒子を除去したCaO・2Al2O3を混和した普通ポルトランドセメントを水和させると、微粒子を除去しなかった系と比較して長さ変化率とフレッシュ性状が改善した。また、セメント水和物として3CaO・Al2O3・Ca(OH)2・12H2Oが生成した。微粒子を除去しなかった系と比較するとその生成量はほぼ同量であった。このセメント硬化体を塩水に浸漬すると、CaO・2Al2O3の混和量の増加に伴い塩化物イオン浸透深さが減少した。これは、フリーデル氏塩の生成による塩化物イオンの化学的な固定化作用により、塩化物イオンの浸透が抑制されたと考察した。