2013 年 67 巻 1 号 p. 18-24
結晶性ケイ酸カルシウム水和物であるトバモライトの生成機構を解明することを目的に、CaO-SiO2-H2O系における原料珪砂の粒径と、水/固体比がトバモライト生成に及ぼす影響を、in situ XRDと29Si固体NMRを用いて検討した。昇温過程で生成する非晶質C-S-Hは、擬結晶C-S-Hが生成する系ではシリケートアニオンの鎖長が長くQ3が多く生成した。一方、トバモライトが生成する系ではその鎖長はほぼ一定でQ3はわずかしか生成しなかった。この非晶質C-S-HのCa/Si比がほぼ同一であるのに関わらず、異なった構造を有するのは、昇温過程において生成する液相中のシリケートアニオンの鎖長が5程度の非晶質C-S-H濃度が関係していると推察した。