コンクリートのひび割れ抑制対策として利用されている膨張材を用いたコンクリートを対象として、その基本特性の把握および実構造物レベルでの膨張材の効果に対して検討を行った。実機プラントを利用して検討した結果、膨張材によるコンクリートの乾燥収縮および自己収縮の低減効果が認められた。一方、膨張材を用いたコンクリートの擬似完全拘束条件下での引張応力強度比は低い値で推移し、膨張材による引張応力の低減効果が確認できた。実構造物の外壁およびスラブにおいても、膨張材を用いることで、初期材齢において膨張に伴う圧縮応力が有効に導入され、コンクリートの引張応力を低減することができた。さらに、長期材齢におけるひび割れを評価した結果、膨張材を用いたコンクリートのひび割れ面積は、普通コンクリートの約35%で、膨張材のひび割れ低減効果が確認できた。