抄録
エトリンガイト・石灰複合型膨張材を異なる条件で高温炭酸ガス処理し、セメントに混和して硬化体の物性、空隙構造、水和組織を評価した。高温炭酸化の処理時間が長いほど、膨張のタイミングが遅くなり、特定の処理時間で材齢7日の膨張率が大きくなった。適度な高温炭酸化処理によって膨張材の反応が制御され、セメント中のエーライトが水和して組織形成する前に反応するロス分が減少し、膨張性能が向上すると考察した。高温炭酸化の処理条件によらず、膨張に伴って直径1μm前後の空隙が増加した。高温炭酸化処理した膨張材は、材齢7日時点で処理前の膨張材と同程度反応した。材齢7日を基準とした乾燥収縮や圧縮強さは、高温炭酸化処理の程度によらず同程度であった。