2017 年 71 巻 1 号 p. 17-23
本研究では、粒子の充てん性や注水直後の水和に着目して中庸熱ポルトランドセメント(MPC)と石灰石微粉末(LSP)を組み合わせることで、低水粉体比においても高流動性を示す材料の設計を提案した。MPC-LSP系は、高強度・高耐久性セメントである低熱ポルトランドセメント(LHC)-シリカフューム(SF)系よりも高い流動性を示した。特にLSP置換量の増大とともに流動性は向上し、その傾向は水粉体比が小さくなるほど顕著であった。以上から、セメントペーストの流動性に影響を及ぼす要因として初期水和反応が非常に重要であり、初期水和制御によってMPC系においても、LHC-SF系と同等以上の流動性を得られることが明らかとなった。