本研究は、硫酸塩がセメント硬化体に作用した場合における、硫酸塩劣化前後の物質移動性状の経時変化を把握するための第一段階の検討として、硫酸ナトリウムに短期間浸漬した硬化体の酸素の移動性状を評価することにより空隙構造の変化を明らかにし、またその際の水和物の変化との関連性を検討することを目的とした。その結果、硫酸ナトリウムに浸漬したセメント硬化体の酸素拡散係数は、イオン交換水に浸漬した場合と比較して低下する傾向が確認された。これは硫酸ナトリウムの作用を受けることによってセメント硬化体内部でエトリンガイトが生成し、直径20nm以上の空隙が充填されて空隙構造が複雑化したことに起因すると考えられた。