2022 年 76 巻 1 号 p. 528-536
本研究では、1.4nmトバモライトに熱処理を行い、層間を1.1nmに変化させたSi-Q3結合を持たない単鎖構造のトバモライトに対して、低相対圧から水蒸気吸着等温線を取得し、Clausius-Clapeyron式により算出した等量微分吸着熱から層間構造の評価を行った。また熱処理を加えた1.4nmトバモライトを比較対象として低結晶質C-S-Hの評価を行った。その結果、低湿度域の吸着熱変化においては二峰性を有した特徴的なピークが出現し、第1、第2ピークまでの挙動はそれぞれ層間内部および層間の外側表面への吸着に起因するものと考察した。また1.4nmトバモライトの吸着熱における第1ピークの増加は、層間を架橋するCa2+イオンの水和に起因するものと考察した。