日本セトロジー研究
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2009年中における佐渡海峡の新潟~両津航路船(佐渡汽船)による鯨類目撃記録
本間 義治岩下 雅彦
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2010 年 20 巻 p. 17-19

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抄録

前報(本間ら2010)に引き続き,佐渡海峡の新潟~両津間における佐渡汽船ジェットフォイル(J)ならびにカーフェリー(C)による鯨類目撃記録を,2009年分につき纏め,整理してみた.目撃回数は141回と極めて多く,1994年からこの記録を取り始めて以来最高の数値であった.鯨類の目撃は,従前通り1月から始まり,4月の51回をピークに3~5月に集中していたが,この傾向は前年(2008)より1カ月早かった.目撃時間帯は,日中には満遍なくみられたが,午前10時(29回)と午後4時(16回)の二つの山があり,例年と変わらなかった.CとJの目撃回数は,C39 /J101とJが多かったが,これには就航便数などが関係していると思われた.1回当たりの鯨類目撃頭数は,1頭が大半であったが,数頭のことも数回あり,最多は9月26日の20~30頭であった.種類はほとんどが不明であったが,確認できたものはミンクが最も多く,次いでツチクジラ,ハナゴンドウであり,1月22日にはシャチの群れも観察され,貴重な記録となった.遊泳方向は,81回と過去にはない多くの例が記録されたが,南下が47回,北上が34回で,特定方向に限らなかった.航路程(レーン)では,鯨類を含む障害物との衝突を避けるために設定し,70km台で走航行する減速区間(ポイント2.0~4.5)に目撃回数が集中し,113回であった.その間でも,ポイント2.0~2.5の短区間が31回と濃密であったことに特色があった.幸い,2009年中には就航船と鯨類などとの接触ないし衝突事故は無かった.

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© 2010 日本セトロジー研究会
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