2008年1~12月における佐渡汽船新潟~両津航路と、2008年5月~2009年5月の間に、佐渡汽船直江津~小木航路および新潟県沿岸・沖合における海生哺乳類の漂着・混獲・目撃等の記録を取り纏めた。漂着は12件で(ハナゴンドウ1件、バンドウイルカ2件、カマイルカ5件、キタオットセイ2件、ゴマフアザラシ2件)であった.漂着例の少ないのは、期間中に大時化があまり発生しなかったことに起因していると思われる。混獲されたミンククジラ5個体は、沿岸の大型定置網に入ったもので、佐渡島(4)と粟島(1)である。目撃記録を整理してみると、2008年中における新潟~両津航路の佐渡汽船乗組員による鯨類目撃記録は、前年(2007年)の69件に比し,45件と少なかった.2008年には、クジラの10頭~数十頭の群れは7~8月に4件目視されたが、いずれもハナゴンドウと観察された。直江津~小木航路でも、海鳥観察の際にクジラ類8件,イルカ類31件、キタオットセイ5件(計44件)と多く、月別には、新潟~両津航路の場合5月がピークで、時間帯は10~11時に多かった。これらは、ジェットフォイル(J)が36回、カーフェリー(C)が7回、ほかに第9管区海上保安本部のヘリコプター(H)が1回から成る。目撃シーレーン(航路帯)は、佐渡海峡北端の中央帯に圧倒的に多く、30件を占めた。遊泳方向は北~北東が7件、南~西が10件である。新潟県内では、年々海生哺乳類の目撃・漂着記録が多く寄せられるようになった。私たちは、今後も互いの協力体制を保ちつつ、情報の蒐集に努めたい。
抄録全体を表示