茶業研究報告
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総説
生体に対する放射線影響と緑茶の飲用による防護効果の可能性
物部 真奈美
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2012 年 2012 巻 113 号 p. 113_1-113_9

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抄録

放射能汚染による生体影響で危惧される影響の1つに「がん」がある。遺伝子異常の蓄積の結果,発がんに至ると考えられており,できる限りがんリスク要因を減らすことが重要である。また,生体は障害を防ぐ機構を備えており,その機能低下を防ぐことも重要であると考えられる。
報告されている放射線を用いた研究結果からは,緑茶の飲用による放射能汚染からの明確な防護効果を見出すことは難しい。しかし,これまでに報告されている緑茶の飲用による生体内抗酸化能の増加や免疫系への作用を考えると,緑茶の飲用が,個々が持っている障害への抵抗力を増加し,ひいては発がん抑制機構の一部を補助する可能性のあることが期待できる。期待できるといっても,緑茶を飲めば「がん」やその他病気にかからないということではなく,数あるリスクのうちのいくつかを減らす可能性があるとまでしかいえないのが現状である。

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© 2012 日本茶業技術協会
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