茶業研究報告
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固相マイクロ抽出法を用いた玉露の香気寄与成分の特定
水上 裕造
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2020 年 2020 巻 130 号 p. 39-46

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抄録

玉露は覆い下茶園の新芽で製造され,青海苔様の香りや干し草様の香り,甘い香りがある。今回,産地および価格が異なる玉露15点を入手し,SPMEにより香りを抽出し,GC-OとGC-MSを用いて玉露の香りに関与する成分を特定した。さらに,AEDAにより各香気寄与成分の元の香りへの影響度合いを示すFDファクターを求め,主成分分析により玉露のヘッドスペースの香りを明らかにした。その結果,(Z)-1,5-octadien-3-one,dimethyl sulfide,3-methylnonane-2,4-dione,4-mercapto-4-methyl-2-pentanone,furaneol,2-acetyl-1-pyrrolineの6成分は玉露の香りに重要であることがわかった。これらの成分は極微量に含まれ,今後安定同位体標識化合物を内標準とした定量分析により,栽培から加工において玉露の香りを活かす手法の開発に貢献する。

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© 2020 日本茶業学会
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