2021 年 2021 巻 132 号 p. 45-54
チャノミドリヒメヨコバイは,茶の新芽を吸汁加害し,収量と製茶品質に悪影響を及ぼすことから重要害虫となっている。現在,本種に対する防除は,二番茶以降の萌芽期や秋芽の生育期に化学農薬の散布により行われている。年に複数回の化学農薬散布による防除が行われるため,薬剤抵抗性の発達だけでなく海外輸出時の残留農薬基準をクリアできないなど複数の問題がある。
アセチル化グリセリド (以下AG剤) は,日本・米国・欧州等で食品添加物として認可・利用されており,コナジラミ類で行動制御効果 (忌避,吸汁阻害,交尾阻害) を有することが報告されている。そこで茶園において,AG剤のチャノミドリヒメヨコバイに対する防除効果を発生密度が高い二番茶期および防除期間が長い三番茶・秋芽生育期で評価した。その結果,AG剤 (希釈倍率が500倍または1000倍) を散布することで,たたき落とし虫数,新芽の被害程度および産卵数を低減させる結果が得られ,慣行防除と同等の防除効果を示した。