茶業研究報告
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技術レポート
茶園におけるカブリダニ類のたたき落し法による密度推定のための必要標本数の算出,および存在頻度率または最大値による推定法
小澤 朗人
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2024 年 2024 巻 138 号 p. 41-48

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抄録

茶園に生息するカブリダニ類を対象として,B5判の白色板を使ったたたき落し法によるカブリダニ類の密度推定法について,静岡県の現地茶園において検討した。たたき落し法による平均値とすそ葉の寄生程度 (寄生数および寄生葉率) との間には,有意な正の相関関係が認められた。たたき落しによる捕獲データを使って圃場内の分布様式を解析した結果,基本集合度αは-0.0242,密度-集合度係数βは1.03となり,ランダム分布 (ポアソン分布) を示した。さらに,得られたαβに基づき,目標精度D=0.1〜0.3における必要標本数を算出した。その結果,目標精度D=0.3を満たすために,平均値が1頭であった場合には,圃場当たり11箇所のたたき落しを行う必要がある。また,たたき落し調査における,存在頻度率または最大値による平均値の推定法について検討した。存在頻度率 (x) と平均値 (y) との間の関係では,y=1-exp (-0.987x0.985) の非線形回帰式が得られた。さらに,最大値 (x) と平均値 (y) との間には,y=0.408xの直線回帰式が得られた。実際の調査にあたっては,予備調査として存在頻度率または最大値を求め,次に,それらから推定された平均値に基づいて必要表本数を割り出した後,本調査を行うことにより精度の高い密度推定が可能となろう。

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© 2024 日本茶業学会
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