茶業研究報告
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茶樹の炭素同化作用に関する研究(第2報)
同化作用の日変化とその季節的推移
原田 重雄加納 照崇酒井 慎介
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1957 年 1957 巻 10 号 p. 3-8

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抄録

1.昭和31年6月より同32年3月まで,やぶきたまたはY2品種の鉢植した4年生樹の同化作用につき実験を行つた。
2.同化作用の日変化をみると,日射量の増大につれ同化量は増すが,光に対する飽和点が存在するため,日中の同化量はほぼ一定となり,日変化曲線は梯形型となる。また夏秋季には水稲にっき報ぜられているのと同様,日中低減の傾向を示した。
3。夏秋季における飽和光度は約0.5cal/min,cm2で,冬季にはこれよりやや低く0.4cal内外と思われた。
4,夏秋季における日中低減の原因としては,高温の影響かとも想像されるが,データの上からはこの点を認め得なかつた。
5.Y2品種について秋冬季間における葉面積の変化は少かったが,冬季には同化能力が低下して最大同化量は秋季の約40%となり,3月にはやや回復したがなお低かつた。また1日当り同化量は同化能力の低下に日照時間の短縮が伴うため,さらに変化が大きく,冬は秋の約36%,春は約45%であつた。このような同化能力の低下には成葉の葉線素含量の減少のみでなく,他にも影響の大きい要因の存在が考えられる。

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