茶業研究報告
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32Pの内部照射による茶の突然変異誘発照射方法に関する二,三の実験
中山 仰原田 重雄
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1961 年 1961 巻 17 号 p. 19-23

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抄録

茶の芽条変異を誘発するため,芽に対しPを処理する方法につき1956~60年に試験した。
1.滴下処理法:頂芽または側芽に1芽当たり25,50μcの32P水溶液を滴下処理した結果,班葉,奇型葉などが生じたが,翌年新しく発生した葉は正常形に復帰した。
2.はく皮処理法:枝の途中を小さくはく皮し,その下部にリング状の傷をつけ,その傷口からP水溶液を吸収させ,側芽の生長点に対し内部からβ線を照射する方法を試みた。その結果はやぶきたの秋芽に対し25μcを処理した枝から,葉形,成葉の光沢などの変異した枝条が得られた。一方夏芽に対する処理は枯死枝条が多かった。
はく皮法について芽に移行したPの量を調査した結果は芽における放射能は処理後7日自まで急速に増加し,以後はそのまま滅衰した。
この研究の結果から,はく皮法によるPのβ線内部照射は,茶の突然変異誘発にきわめて有効と認められる。

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