茶業研究報告
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カンザワハダニ休眠について
刑部 勝
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1962 年 1962 巻 19 号 p. 21-34

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抄録

茶園におけるカンザワハダニの休眠について調査し,それと並行して休眠の誘発と覚醒に及ぼす温度と日長時間につい七検討した。結果を要約するど次のごとくである。
越冬期のダニは10月中下旬~11月上旬ごろから体が朱色となり,2月中下旬~3月上旬ごろまで続く。しかし3月上旬以後は赤~暗赤色に変わって産卵を始める。
雌成ダニは体が朱色の間は適温を与えても全然産卵しない。産卵を始めるのは体が朱色から朱赤色または赤色に変わって後である。
茶園におけるカンザワハダニは雌成態で休眠越冬する。そのときの体色は朱色である。
休眠の始期は10月中下旬~11月上旬ごろで,終期は1月下旬~2月上旬ごろである。しかし鹿児島県などの西南暖地は例外で,始期は他の地方と同じであるが,終期は12月中下旬~1月上旬で他の地方より早い。
カンザワハダニの休眠は静岡県金谷町では12月が最も深い。
カンザワハダニは温度20℃以下,8時間照明で,暗黒の16時間を3~5℃の低温で経過すると休眠する。
休眠覚醒は高温のときほど早い。温度25℃では16時間照明が休眠覚醒に最適である。

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