茶業研究報告
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紅茶の製造操作と品質に関する研究(第3報)
揉ねん中の温度が茶の品質に及ぼす影響
桑原 穆夫竹尾 忠一
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1966 年 1966 巻 26 号 p. 48-57

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抄録

1,揉ねん室の温度を15℃から45℃の間を5℃間隔に変え,茶葉温度を室温に近い温度に保ちつつ揉ねんし,その製品の品質を比較した。
2,茶葉の発酵力は,揉ねん中葉温が44℃になった場合に低下がみられた。
3,茶葉のタンニンは,揉ねん室温度が低い場合は揉ねん中の酸化の進み方は少ないが,これを25℃で発酵させた場合には正常に酸化した。25℃,35℃区は揉ねん中にもタンニンの酸化は進み,その後の発酵中の酸化も正常であった。
45℃区は揉ねん中にタンニンの不溶化が進み,発酵力の低下もともなって,発酵2時間後の酸化,重合型タンニン量は少なかった。
このため,製品の水色も15,25,35℃間ではあまり差がなかったが,45℃区は色調はさえずうすかった。
4,揉ねん室温度によって発酵適期に至る発酵時間は変化し,揉ねん15℃,20℃では180分前後,25℃区:120分,30℃区,35℃区:60~90分と短縮するが,40℃区は若干長くなり,45℃区では発酵120分たっても十分に発酵が進まなかった。
5,茶の品質は,揉ねん室温度15℃,20℃,25℃,30℃,35℃区間でみると,茶期による差が若干あるが,この区間ではあまり大きな品質の差がなかったが,40℃区45℃区になると品質は前5区よりも低下し,特に45℃区の品質は劣っていた。
しかし,15℃区では揉ねん中茶葉の粘性が減り,揉ねん操作が円滑にゆかない欠陥がみられ,これらの点を考えると,揉ねん中に茶葉温度が20~35℃程度に維持されてることが望ましいように考えられた。

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